書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

安重根は平和の使徒だそうな(2)

2008年10月27日 | 抜き書き
▲「Chosun Online 朝鮮日報日本語版」2008/10/24 17:01、兪碩在(ユ・ソクジェ)記者「『安重根は東北アジアの平和都市を夢見ていた』(下)」
 〈http://www.chosunonline.com/article/20081024000071

 東洋平和に向けた安重根の具体的な構想は、現在の観点からみても非常に目新しいものだ。まず日本が旅順を清に返還した上で、韓中日3カ国が共同で管理する軍港とし、各国が代表を派遣して平和会議を組織すべきと主張した。具体的には3カ国の若者で構成された軍団を編成し、彼らに2カ国以上の言語を学ばせ、銀行を設立して共用通貨を定めようという主張だった。21世紀の欧州連合(EU)を連想させるような概念が、すでに安重根の思想の中に存在していたことになる。 (兪碩在記者)

 旅順を返還すべきなのはロシアである。旅順は、1900年の北清事変のあと、ロシアの租借地となっている。1895年の下関条約で旅順を含む遼東半島は清から日本へ割譲されることとなったが、直後の三国干渉で取りやめになった。だから安重根の事実認識は根本から間違っている。そしてその錯誤を看過した兪碩在記者のそれも同様である。よしんば三国干渉がなく、旅順が日本の領土になっていたとして、清国に返してもすぐロシアに転貸されるだけではないかとは思わなかったのか。現実の旅順がそうなったように。空想家である、安も兪記者も。

 それとも、これはすべて、日本をより貶めるために当時の日本の天敵ロシアを救世主・正義の味方扱いして持ち上げる戦術か。

 →「Chosun Online 朝鮮日報日本語版」2008/09/28 01:26、兪碩在記者 「『ロシアの韓国系メディアが安重根の義挙を主導』
 →「Chosun Online 朝鮮日報日本語版」2008/10/24 17:08、兪碩在記者 「伊藤博文に3発命中、ロシア語で『韓国万歳!』

10月27日追記。
 日露戦争後、1905年のポーツマス条約の結果、旅順が日本の租借地となったことを忘れていた。だから「事実認識が根本から誤っていた」「空想家」は私のほうである。この点について、安重根の霊と兪碩在記者にお詫びしたい。