西洋の思想と中国の思想とを比較するとき、その思想を構成する西洋の論理は、物から物を引出す(一般から特殊を、特殊から一般を引出すがごとき)論理で、物相互間に何らかの密接な関係があるのが一般であるのに対して、中国の論理は物と物とを結び付ける(という非論理的な)論理であると言えよう。比喩が多く用いられるのも、一つにはここに由来している。 (「第三章 論理思想」、天野鎮雄執筆「第三節 析・恵施」「五 恵施の論理」 本書280頁)
比喩がよく用いられるのではなく、比喩そのものが論理として説得力を持っているということではないのか。有名な矛盾の故事も、だから矛と盾の段階で納得されてしまうのではないか。分析思考がなく、あるのは直感と頓悟だけであるとすれば、それで当然であり、せいぜい同意語によるいいかえが為されれば論証は完璧となるのであろう。
(東京大学出版会 1967年3月)
比喩がよく用いられるのではなく、比喩そのものが論理として説得力を持っているということではないのか。有名な矛盾の故事も、だから矛と盾の段階で納得されてしまうのではないか。分析思考がなく、あるのは直感と頓悟だけであるとすれば、それで当然であり、せいぜい同意語によるいいかえが為されれば論証は完璧となるのであろう。
(東京大学出版会 1967年3月)