米国映画『12人の怒れる男』(1957年、シドニー・ルメット監督)のリメイクだが、米国版でヘンリー・フォンダ扮する陪審員8番は、完全無欠な正義の人であった(1997年テレビ版でジャック・レモンが演ずる陪審員8番も、役柄の加齢による疲労は見えるものの、ほぼ同様)。しかしこのロシア版で陪審員8番に当たる陪審員1番(セルゲイ・マカヴェツキー)は、いざとなって法廷外での実際行動が必要となると躊躇するという、人間的な弱さを見せる。その一方で、最初は沈黙がちで印象が薄かった陪審員2番(ニキータ・ミハルコフ、引退したアマチュア画家、陪審員長)が、最後には義理の父殺しの冤罪を着せられたチェチェン人少年の身元引受人となり、少年が仇と誓う真犯人捜しへと共に乗り出すことになる(それ以前、旧ソ連ないしロシア特殊部隊の将校であったらしい経歴が劇中仄めかされている)。
私には、ヘンリー・フォンダも良く、セルゲイ・マカヴェツキーも良く、ニキータ・ミハルコフも良い。
(東宝 2009年1月)
私には、ヘンリー・フォンダも良く、セルゲイ・マカヴェツキーも良く、ニキータ・ミハルコフも良い。
(東宝 2009年1月)