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書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

鈴木かほる 『史料が語る坂本龍馬の妻お龍』

2011年03月29日 | 伝記
 龍馬の死後、心底から自分の身を案じてくれたのは寺田屋お登勢、西郷隆盛、勝海舟の三人だけだったと、晩年の回顧録『反魂香』でお龍は語っている(四、本書194-195頁)。
 龍馬死後、いったん坂本の実家に身を寄せたお龍は、彼女によれば龍馬宛の褒賞金を奪い取ろうとする長兄の権平夫妻と衝突して土佐を去り、やはり生まれ故郷であり龍馬の死んだ土地でもある京都で亡き夫の墓守をするべく京都へともどる。だがしばらくして彼女に関係のない種々の事情で京都にも居づらくなったお龍は、明治6年に東京へ出る。そこで旧知の西郷と面会し、西郷からの同情と援助の約束を得るが、折悪しく西郷は征韓論に破れて薩摩へ帰国する直前だった。身寄りもなく、収入の目処もなく、東京で孤立していた彼女に、神奈川の料亭での仲居の職を世話してともかくも生計の立つようにしたのは勝海舟だったらしいと、著者は推測している。

(新人物往来社 2007年12月)

「被災地へ届け…ジブリのメッセージ」 から

2011年03月29日 | 抜き書き
▲「デイリースポーツオンライン」2011年3月29日。(部分)
 〈http://www.daily.co.jp/gossip/article/2011/03/29/0003902705.shtml

 7月16日公開の新作映画「コクリコ坂から」の企画・脚本を務めたスタジオジブリの宮崎駿監督(70)、メガホンを取った長男の宮崎吾朗監督(44)が28日、東京・小金井市の同社で行われた手嶌葵が歌う主題歌「さよならの夏~コクリコ坂から~」の発表会見に出席した。駿監督は「僕らには映画をつくるしかないんだ」と涙ぐみながら、完成を楽しみにする東日本大震災被災地の映画ファンに作品を届ける思いを語った。
「今でも埋葬することのできない多くの遺体が、がれきに埋もれている。それでもアニメをつくっている自覚を持って、停電しても仕事を続けようと思う。鉛筆と紙があれば窓の明かりで絵は描ける」


 どういうわけか報道ごとに紹介に当たっての重心のかけかたがかなり異なっていて、発言の全貌が掴みづらい。かろうじての共通項は、「僕らには映画をつくるしかないんだ」であろうか。本当は、被災地や原発で自らの安危を省みることなく作業にあたる人々に対し監督が憚ることなく示した畏敬と感謝についても、各社共通して取り上げるべきだろうと私個人は思うのだが、どういうわけかそこが報じられたり報じられなかったりして、その取捨の基準のブレがよく解からない。

徳富蘇峰 『近世日本国民史 西南の役』 6 「西南役両面戦闘篇」

2011年03月29日 | 日本史
 宮崎八郎の死の状況を原史料に就いて知ろうと思ったが、「邊見〔十郎太〕らと共に官軍の衝背軍を襲うべく、八代附近における戦いにて戦死した」と、蘇峰自身の筆で簡単に伝えられるのみである(「第十七章 薩軍、人吉に向かう」「二 木山以後の協同隊」、本書320頁)。
 いつも思うが、この講談社学術文庫版はおそらくは軽便化のためであろう、底本の時事通信社版にあった「索引」および「年表」「人物概覧」を割愛してあるので、少々使いにくい。

(講談社学術文庫版 1980年9月)

「向精神薬使い自爆強要 露空港テロで武装勢力」 から

2011年03月29日 | 抜き書き
▲「msn 産経ニュース」2011.3.1 20:44、共同。(全)
 〈http://sankei.jp.msn.com/world/news/110301/erp11030120440005-n1.htm
 
 2011年02月11日「『Bombing Motive Could Be Revenge』 から」より続き。本日「空港テロの共犯者拘束 ロシア」を見て。

 1日付のロシア紙コメルサントは、1月24日にモスクワ郊外のドモジェドボ国際空港で起き、37人が死亡した爆弾テロを直接指揮した容疑者は、チェチェン独立派武装勢力のアスラン・ビュトゥカエフ司令官(37)だとロシア治安当局が断定したと伝えた。実行犯に向精神薬を服用させ、自爆を強要したとみられている。
 調べによるとビュトゥカエフ司令官は、犯行声明を出した同武装勢力指導者ドク・ウマロフ司令官の部下で、現在はロシア南部チェチェン、イングーシ両共和国の境界付近に潜伏している。
 目撃情報などによると、ビュトゥカエフ司令官は、テロ現場で死亡した実行犯マゴメド・エブロエフ容疑者にイスラム過激主義の思想を教え込むと同時に向精神薬を与えて服従させ、モスクワに送ったという。


 それにしても毎回実行犯の名が変わるのはわけがわからない。