直訳すれば『ロシアと中国 戦争瀬戸際の300年』という書名。なんだか扇情的な題名だが、事実局地的といえ戦争をしたのだから別に瀬戸際ではないし、隣国同士では国境の小競り合いがあって当然でもあろう。実際の中身はオーソドックスな関係史である。取り上げた期間は17世紀の明末清初から1917年の2月革命まで(ただし実質的には1905年の日露戦争終結の時点で終わっている)。マイセーエフもそうだがソ連時代に踏み込まない理由はよく分からない。分からないといえば著者のイーガリ・パポフがどこの誰かも、著者紹介が何処にもないので分からない。ヤフーのロシア語版で調べてみたら、歴史学の修士号を持つイーガリ・ミハイラヴィチ・パポフ(Игорь Михайлович Попов)という人と同一人物らしい。
(Москва, изд. Астрель, 2004)
(Москва, изд. Астрель, 2004)