くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「北斎の冨嶽三十六景」大久保純一

2009-06-15 05:54:33 | 芸術・芸能・スポーツ
これこれ、この本です!大久保純一 「北斎の冨嶽三十六景」(小学館)。図書館から借りたのですが、丸善に行く用事があったので早速購入しました。
北斎はいいですねー。あの筆づかい。北斎漫画展を見に行って以来、北斎と名のついたものには目を向けずにはいられません。「神奈川沖浪裏」のモチーフで作られたパズル、クロスステッチ、ノート、クリアファイル、うちわ(キティちゃんが波乗りしています)などなど、買い集めました。塗り絵も三種。ポストカードやシールもあります。
赤瀬川原平「」に、この絵についての解説がありますが、波濤から語り起こして右回りにぐるりと細部の紹介が行われています。大から小へ。そして最後は象徴としての富士山の聖性でまとまるのですね。
彼によると、富士山を小さく描くことで、逆にその価値や雄大さを効果的に示すことができるのだとか。そうなると、全点(四十六枚あります)の富士山の占める位置を知りたくなるじゃありませんか。
敢えて一筆書きにしたような冨士、湖面の影がなぜか不自然な冨士、絵の中で本当に小さくしか描かれない冨士など、画面構成の工夫がよくわかります。
しかも一枚一枚どんな視点で見ていけばよいのか解説がついています。「凱風快晴」の「凱風」が南風のことだって知りませんでしたよー。
年表やそのほかの作品についての紹介もあり、とても便利です。
あ、ついでにもう一冊買いました。「もっと知りたい葛飾北斎 生涯と作品」(永田生慈監修、東京美術)。バラエティーに富んだ作品が紹介されています。系図もついている。
そういえば、北斎に興味をもったのは、杉浦日向子「百日紅」が起点でした。名作ですー。