くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「放課後」東野圭吾

2011-11-07 05:41:40 | ミステリ・サスペンス・ホラー
第三次東野圭吾ブームが巻き起こるかと思ったんですが、ちょっと肩透かしでした。いや、このエンディングに女子高生の純粋さを感じる人も多いでしょうよ。でも、ごめん、思いこみ激しいよね、【犯人】さん。(一応名を秘す)
主人公の先生も、実際に【犯人】が思ったようなことがあったかどうか疑問を感じているわけです。東野さん、学校現場を活写している。
でも、巡回教師がいるのはわかっているはずだし、部屋にいつ先輩が戻ってくるかわからない状態でそんなことしないでしょ。この真相にはびっくりしました。
デビュー作「放課後」(講談社文庫)です。初期作品は「しのぶセンセ」のシリーズ中心に結構読んだんですが、読み残しているものもある。図書館の文庫棚で発見したので借りたんですが、元女子高生のわたしでも、【犯人】がもし友人だったらうんざりです。実際に気のせいだのわかるわけないだの、慰めるでしょうし、その後の電話相談だって同じように気を紛らわすように話すはずでしょう。自分の手を汚すほど屈辱なんですか。いいふらされてもいないし、その後のことにしてもそう思い込んでいるだけの可能性は大きい。ジュースを差し出すときの相手の態度からは、そういう感じはなかったんですかね。
ただ、伏線と展開はさすが。とってもおもしろい。息つく暇もない展開で、怪しい行動をする人が何人も出てきて。
最後まで、高原さんが誘ってきた謎の一泊旅行の意図は語られませんが……。それに、どうしてぐれてんのかも説明なしだったので、やっぱり初期のころは役割としてのあてがきもあったのかなーと思いました。
剣道部主将で、学園の首席を誇る北条さん(しかも美少女)の存在感。アーチェリー部員の恵子(ケイ)、カナエ、宮坂さん。
なにやら不審な行動をする妻。どうも体調がすぐれないらしい。その理由が授かった命を主人公が堕胎させたためとわかります。
一人称なのでわかりにくいですが、主人公は冷血漢で仕事にたいする熱意もありません。あだ名は「マシン」だそう。授業中に雑談の一つするのでもなく、生徒に注意もほとんどしない。(わたしも授業に関係ある話しかしないんですが、人間味がないってことになるんですかね)
でも、ケイや陽子には慕われているし、敏腕刑事の石川からも頼りにされるようになる。
石川刑事はそのうち真相にたどりつくと思うんですが、逮捕されたらそれこそ全国的に報道されるのでは? そちらのほうが恥ずかしいですよー。そういうことは考えてないんですかね。それは主人公の妻も同じなんですが。この状態をチャンスと思うのはおかしいって。しかも、名前を呼んでは駄目でしょう。
あ、女子ロッカーが濡れているのを誰も話題にしないんですが、それは男子更衣室から乗り越えてやったことだと自明なの? どうやって? 乗り越えるときにペットボトル持参したってことでしょうか。
なんとなく思ったのは、「アルキメデスは手を汚さない」の影響があるかな、と。
解説で紹介される、東野さんが料理番組で作ったという「とろろ豆腐」(豆腐+山芋のすりおろし+みつば+うずらの卵をレンジにかける)、真似してみたいですね。

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