くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「昔々の上野動物園、絵はがき物語」小宮輝之

2012-12-17 20:38:06 | 自然科学
 「昔々の上野動物園、絵はがき物語 明治・大正・昭和……パンダがやって来た日まで」(求龍堂)を読みました。筆者の小宮輝之さんは前上野動物園園長。わたしとしては、パンダ課長だった中川さんの名があるかと期待していたのですが、見られませんでした。残念。
 上野動物園には動物園ホールの二階に資料室があって、膨大な絵はがきが保管されていたそうです。それを年代順に紹介しています。
 結構上野動物園関係の本は読んでいるので、いろいろとおもしろい。象のトンキーといったら、あの「かわいそうなぞう」ですよね。猛獣たちが薬殺されたあとも、毒餌を食べずに生き残っていた。ワンリーという象は十八日、トンキーは三十日間絶食に耐えたそうです。当時の飼育係がこっそりと水やわずかな食料を与えていたとか。
 象といえば、インディラ。ネール首相からの贈り物として来日しましたが、負けじとタイからも象を贈るようにキャンペーンが繰り広げられ(前者には朝日新聞が、後者には読売新聞が後援)、結果としてインディラのための施設を作っていたのに、到着しないうちに別の象ガチャ子が入ることになったのだとか。
 このガチャ子、やがて新聞公募で「はな子」と改名されます。今も井の頭自然文化園で健在なんだって。
 象の話ばかりなのもなんなので。
 初期の絵はがきを見ると、「白クマ」と「ホッキョクグマ」は違うらしいことがわかります。明治期にツキノワグマのアルビノが飼育されていて、関係者はこれを「白熊」と呼んでいたんだって。この時期はホッキョクグマを見たことがない人が想像で描いたクマの絵が使われていたそう。(ツキノワグマを白く描いただけ)
 近親交配で足が白くなってしまうカバや、斑紋のないキリンも印象的でした。
 シフゾウという動物が気になります。「四不像」と書くそうな。ひずめはウシ、頭はウマ、体はロバ、角はシカに似ている(らしい)。北京でひっそりと飼われていたものの、野生では存在していない。雑種でもいいから残したいとスイロク(水鹿)とペアにしたこともあるとか。
 動物園の話題、好きなんだと思います。「なるほど動物園」を読み返そうかな。