くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「人生相談始めました」蒼井上鷹

2011-08-17 20:42:30 | ミステリ・サスペンス・ホラー
蒼井上鷹にはまる直前、仙台の書店で発見し、結局買わないでしまった本です。およそ数ヶ月ぶりにその本屋に行ったのに、売ってない!
愕然として同系列の店に行ったらありました。
で、買った足で古本屋に行ったら、ここでも売っていた……。
まあいいです。早速読みましたとも。「人生相談始めました」(PHP)。
急な階段を上った先にあるバー「モーさんの隠れ家」。マスターの「モーさん」は先代から店を譲り受け、まじめに営業中。
しかし、このところ彼になにやら相談する人が多くなり、さらには友人の稲田がタウン誌の人生相談コーナーをやらないかともちかけてきて……。
モーさんの頼りにするのは、亡くなった父親がメモしていた相談の数々で、これが役にたつようなたたないような……。
「貸したお金を返してもらえず困っています」「子供が何を考えているのか、さっぱり判りません」「カレシがいるのに他にも気になる男の人ができてしまいました」「前の恋人から貰ったものを捨てずに使っていたら、今の恋人と喧嘩になりました」
バーの常連客たちは多種多様な悩みを抱えてやってきます。なかでもわたしが気になる人は二人。銀行員の花園さんと、バーテンダー志望の高津くんです。
花園さんは腰が引くて優しい人。前任者の貸付けを回収しようとして連帯保証人のもとを訪ねますが、彼の夢に共感したところから思いもよらない秘密が……。
その後もいろいろあって再登場となり、ラストにはこれまた重要な役目が与えられます。キミも急いで太るんだっ、とアドバイスしたくなりました。
高津くんは、バーテンダーが駆け落ちしていなくなった補充として雇うつもりだった青年ですが、「黒すぐり」に目がない。たまたま店にやってきたお客さんを見て逃げ出しますが、彼は三年前に家出した自分の息子だと話します。しかし、ここにもある事情が。
キャバクラの女の子にすぐ夢中になってしまう本間くんもなかなかすごい。
そうそう、「レニ」のマスターも出てきます。ただ初代なのか次の人なのかわからないなー。奥さん帰ってくるっていうから二代目かしら。
それにしても、ココ先生を逆恨みしてのやり口はかなり残忍。モーさんは彼の誤解をときますが、一度はそうしようとした人と、また同じように付き合えるなんて、すごいですよね。お互いに……。
始めは客の悩みを聞く立場だったのに、だんだんモーさん自身の悩みも増えてきます。「ネットでデマを流され、迷惑しています」
どんなデマかというと、モーさんの店でドラッグが取引されているという噂。それを調べるために現れた向山多美という女刑事に、新しいアルバイトの野乃はライバル心を刺激されてかモーさんの恋人のふりをし始めます。
多美は電気屋の向山の従妹で、実は彼がドラッグの所持で捕まったと知らせにくるのですが。
そのため、多美は担当を外されたと語り、向山がかつてドラッグをしていたことを告げるのです。
「ずっと昔に。でもとっくにやめたはずでした」
わたしの記憶違いかもしれませんが、身内に犯罪者がいても警察って採用されるんでしたっけ?
かなり歪んだ人格の方も珍しくありませんが、今回は女性陣のアクの強さを感じました。野乃か多美か。モーさん、結構受難です。