くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「獣の奏者」③ 上橋菜穂子+武本糸会

2010-09-16 05:39:51 | コミック
新人大会目前で延長練習期間に入ったため、当然のごとく本屋に行けません。でも、やっと時間が取れたので探しに行きました。まんが武本糸会「獣の奏者」③(講談社)。「刹那」と同時発売だったのですね。
まんがを読んでいると、本編とのリンクを強く感じます。今回はエサルの住むカザルム学舎へエリンが入学するところだったので、つながりがとてもよくわかりました。
それにしても、武本さんの描くエリンはものすごい純真ですよね。アニメ版もそうなのかな。これはこれで好きなのですが、エリンってもっと頑ななイメージをもっているように思うのはわたしだけ?
融通がきかないというか、頑固といおうか、なんというか守ってあげたいタイプではないように思うのです。
もちろん、「刹那」に描かれる妻としての生活は、日常のあれこれがよく見えて、あーエリンとイアルも普通の夫婦なんだなーという部分はありますよ。
いちばん笑ったのは、生後半年のジェシがはいはいをするようになって、そのスピードを、さすがは「神速のイアル」の息子だとからかわれるところ。かわいい~。
それにしても、単行本とまんがを並べてみて、タイトルロゴのデザインが違っていることに驚きました。それに、文庫と新書(青い鳥文庫)でも、また違うのですよ。
「獣の奏者」がエリンの成長によって巻を追うごとに児童文学から離れていった、というようなことを上橋さんが書かれていましたが、そう思うと「守人」のシリーズとはやはり違う一面があるのかも、とも感じました。「守人」はバルサが最初から大人がからかな。チャグムはたくましく成長しましたが、それを見つめる方には彼の幼い日の姿が残っている。これは読者にとってもそうなのですが、バルサの目を通して見ることでワンクッションおかれているのかも。エリンはダイレクトですから。
でも、小中学生のうちから上橋さんの物語が読めるのはうらやましいなあ!
図書室にも新たに買いましたよ、文庫本。単行本がなかなか戻ってこないので。で、うちの部長がこの前「王獣編」を読んで三冊めの「探求編」を借りるというので、「闘蛇編」の文庫を差し出したのですが、アニメで内容がわかるからいいですと遠慮されてしまいました……。
でも、やっぱりアニメと原作は違うと思うし、当然このまんがとだって違うのです。どちらも楽しめて、その違いを味わうのもいいのになあ。
一冊の本のなかで感銘を受ける場面はそれぞれ違うと思うし。
まんが(③)に取り上げられているでいえば、わたしがこの作品で好きなのは、「学ぶ」ということへの真摯な姿勢です。何かしら障害があっても、その情熱を阻むことはできない。
これはエサルの物語を読んだあとだから、さらに強く感じるのかもしれません。