くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「ぼくとおじいちゃんと魔法の塔」① 香月日輪

2010-09-22 22:20:30 | YA・児童書
荒唐無稽なんだけど妙に説得力がある。というより勢いに引っ張られてぐいぐい読んじゃうのですよね。香月日輪。「ぼくとおじいちゃんと魔法の塔」①(角川文庫)。例によって図書室開館時にちまちま読みました。
図書委員がコンピュータで貸し出し管理をするのですが、担当付き添いのもとでの活動なので、まあ、昼休みと放課後は毎日図書室で過ごします。二十分。
この物語にも塔の中には図書室があって、主人公の龍神(たつみ)が本を読みふける場面がありますね。
もともとおとなしくて考え深いタイプの少年ですが、自分が生まれる前に亡くなったというおじいちゃんの住んだ塔に行き、そこでなんと幽霊として生活しているおじいちゃんに出会ったことで、ものの見方が変わっていきます。
家庭での自分の存在感に息苦しい思いをしていたこともあるのでしょう。とにかく、固定観念をぶっつぶされる本ではあります。
まじめで理想的な家庭に育ちながら、何かが違うことに気づいていく龍神。彼が塔に通うことで変化する様子がよくわかります。
意見の相違から仲間ハズレにされる経緯はちょっとカリカチュアライズされている気はしましたが、その後親友ができたり、家出をしたり和解をしたり、香月さんらしい軽やかな展開で楽しく読めました。
何を言ってもわかってもらえない龍神を救うためにおじいちゃんが実体化して、お父さんが慌てふためく場面が好きです。ボタニカルフラワーの図面、わたしも見たいな。
足の悪い子を慮って徒競走の順位をなしにしようとした学校のわりに、龍神の家出には寛容な姿勢なのは不思議ですが、まあ、いいでしょう。
続編は高校生になるそうです。早速読みたいところですが、貸し出し中なんですよね。ついでにわたしも、弁論と感想文と新人戦と通信票と研究授業の準備でくらくらです。なんとかなるでしょうか……。