ポポロ通信舎

(旧・ポポロの広場)姿勢は低く、理想は高く。真理は常に少数から・・

子育て政策でも迷走、チグハグ

2012年02月22日 | 医療・福祉

どこにいったのか政治主導

政権交代が実現し待機児童解消や幼保(幼稚園・保育所)一体化は良い方向に進むものと期待していた。しかし年金問題と同じで長期的な戦略が見えないまま、子育て政策もマトがズレている。長年の保育所(保育園)と幼稚園の“島争い”は、厚生労働省VS文部科学省の「代理戦争」。ここにこそ強い政治主導が必要とされるところ。当初「子育て政策」は新政権の看板政策の一つだったはず。ところが短命な総理大臣と共に厚生、文部の両大臣も次々に代わる。これでは知恵もので不動の官僚のおもうまま。

助成は待機児解消を担保に

今回消費税を引き上げ待機児童解消のために充てるというが、その内容は7000億円の財源をもって保育所にも、子供手当でプラスされた幼稚園とバランスを考慮して「私学助成金」を新たに設けるという。それもキャパ(収容人数)を問わずに保育所に丸投げ。一方、都市部で待機児童解消の補完に貢献しているNPOなどの無認可保育施設に補助は回らない。政治主導も何もあったものではない。

時代的背景としては女性の社会進出が進み、働く母親が増えてきた。保育の時間が短い幼稚園よりも保育所のニーズが年々高まっている。経営的には定員割れの幼稚園側に危機感が強い。他方保育所は入所待ち、待機児童が後を絶たない。いま全国で待機児童は約2万6千人。そこで現われてきたのが苦肉の策の「こども園」構想。こども園は幼稚園の保育所化の要望の流れになかで中間的なものとして考えられてきた。だが、このこども園も幼稚園と同じで3歳児以上を対象。実際の待機児童の8割は0歳~2歳児にもかかわらず。

所轄官庁も教員資格も一本化を

幼稚園、保育所の教員(保育士)の低賃金は一向に改善されていない。それなのに免許状ばかりは幼稚園教諭と保育士資格の双方を求められてきている。あわてて幼稚園の先生が保育士資格を得ようと困惑している。幼保一体化の中で資格(免許状)も将来的には一本化するべきだ。特に現役の幼稚園教諭、保育士についてはどちらか一つの資格があれば可として共通に扱っていい。実際、履修内容も主要5領域は共通しているしこの際、細部の小異は捨象しても支障はないはず。それでこそ合理的な幼保一体化の第一歩である。類似した免許の取得に気を遣うことなく現役教職員はその分本来の保育業務に注力してもらいたい。保育については厚生、文部の関連2省庁も政治主導でどちらかに一本化することだ。

こうした「省庁間の壁」で進まない問題や財政難を理由に保育分野の民営化進行が止まらない状態を、新政権の政治主導で保育行政だけでも改善するかと見守ってきた。しかし歴代政権同様、安易に消費税に頼り、安易にバラまく手法を踏襲する限りこの政権に望みを抱くことは空しい。


(TBS radio「麻木久仁子のニッポン政策研究所」2/18参聴)

【写真】鬼は外~!子供たちの表情がとても良い。鬼役さん、ごくろうさま。(広報おおいずみ) 本文とは関係ありません。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 定数削減(樽床私案)にだま... | トップ | (続)子育て政策でも迷走 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

医療・福祉」カテゴリの最新記事