ポポロ通信舎

(旧・ポポロの広場)姿勢は低く、理想は高く。真理は常に少数から・・

新妻と共に特攻機で散る

2015年08月14日 | 研究・書籍

『妻と飛んだ特攻兵』(豊田正義著)を読みました。8月19日の満州でなぜ・・?

先日の面高春海展の作品の数々がリアルに思い出されました。

開拓団の人たちは団長を中心に逃げるかどうかを話し合い最終的にこう決断した。「今は動かない方がいい。関東軍が必ず助けに来てくれる。関東軍と一緒に戦おう!」と・・・

面高少年の見た光景と同じ

ところが関東軍は居留民を残したまま撤退してしまった。現れたのはソ連兵。彼らは開拓民の持ち物から時計や衣服、置物などあらゆるものを奪った。やがてソ連兵が去ると、今度は中国人民衆が斧や鍬を持って襲撃する・・。そして開拓団の人たちの当てのない逃避行が始まる。食糧を恵んでもらうために中国人の家々を回ったがどこでも「日本鬼子(リーベングイズ)!」と追い払われた。これが絵画に描かれている面高少年が見たまさに「黒い集団」の日本人開拓団の人たちの姿だったのだ。

避難民を殺戮するソ連・戦車隊のすざまじい蛮行。それらの一部始終を目撃した日本兵たちが玉音放送も総司令部の停戦命令にも縛られることなく「神州不滅特別攻撃隊」を結成し、ソ連・戦車隊への決死の反攻を決意させたのはそんな状況からのことだった。

戦わず降伏できない!

新妻が着ていた白いワンピースは、死装束(しにしょうぞく)。この特攻作戦は軍の命令ではなく自主的な自発的な行動によるもの。「降伏して残されても辱めを受けるくらいなら敵軍に特攻して果てたい」という新妻の切なる願いゆえ。特攻隊員の中には許婚(いいなずけ)が出撃の直前、自決するのを見届けてきたものもいたという。

女性を特攻機に乗せたということが「軍紀違反」との見方もあって戦後、谷藤(たにふじ)徹夫、朝子夫妻のこの逸話は黙殺されてきた。夫婦で特攻・・悲壮感の中にもたしかな愛のあかしが見えていて何かすごいものを感じます。

本書を元にTVドラマ化。明後日16日、テレビ朝日21時~放映です。


 

妻と飛んだ特攻兵 8・19 満州、最後の特攻
豊田正義 著
角川書店

 

戦後70年スペシャルドラマ【妻と飛んだ特攻兵】

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2 コメント

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Unknown (尖尖)
2015-08-18 14:57:07
戦争は何でもアリ。
ひどい。ゆる尖
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尖尖さん (popolo)
2015-08-25 17:40:51
戦争は憎しみを増幅するだけで人々の心を荒廃させます。
何でもありの地獄ですね。ほんとに許せませんね。
返信する

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