ポポロ通信舎

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『ヤマダ電機の品格』を読む

2010年02月06日 | 研究・書籍
頂点に立ちますと改めて何かとその品格が問われます。国家の品格、横綱の品格、そして家電量販店国内最大手としての品格。

ヤマダ電機は全国1道1都2府43県すべてに出店を果たし、2位のエディオンの2倍の売り上げで今や王座の地位に立っています。
店舗の形態を「テックランド」「LABI」「LABI1」と区分し、店舗ごとに物流部門を有しオンライン化。創業者山田昇氏の考えでピロティ式(1F駐車場、2F以上を売り場)を採用し店内レイアウトにも特徴を凝らし、販売管理費率を抑え多店舗展開に成功してきました。

大型店間の相互不可侵を誓った、旧「国際連盟」の役割にも似たNEBA(日本電気専門大型店協会)にはヤマダ電機も一時加入(1987-1993年)するも理念が合わないことを理由に脱退。次第に求心力がなくなったNEBA自体が1968~2005年、33年の歴史をもって幕となってしまいました。
“国連”なき業界は、ヤマダ(群馬)、コジマ(栃木)、ケーズデンキ(茨城)の「YKK」、カメラ系量販店のヨドバシカメラ、ビッグカメラなどを巻き込んでの激しいシェア争いの“大戦”が今も続いているといえます。

本書では、メーカーの記述は少なかった。ただ、宮崎県のマルセイ日向店(売場150坪)とヤマダ電機日向店(同1000坪)との情報中傷戦がもつれ2001年、最高裁まで上告する法廷闘争に発展した時に、事情聴取を求められた各メーカーは司法への回答を渋り気味。その中で三洋電機サービスは、フェアに修理サービス取り扱い状況を述べ、コンプライアンスに向き合ったことは好感がもてるものでした。

著者の立石泰則氏は、ヤマダ電機に関しては取材先の口が重く苦労したという。確かにこれほど伸長著しく成長した注目企業でありながら、同社を題材にした単行本はまだ少ない。松下幸之助氏のように経営哲学、社会還元に類するものを、リーデングカンパニーにふさわしく同社もいずれ広く社会に対して何かを発信してくるであろうことを願ってやみません。

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ヤマダ電機の品格―No.1企業の激安哲学
立石 泰則
講談社

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