著者、瀬古浩爾(せここうじ)氏とは同年代、おまけに同窓という親近感も手伝ってか彼の「定年後」シリーズを読むのは今回で3冊目。
『さらなる定年後のリアル』
肩の力を抜いた自然体の生き方エッセイです。
定年後は時に虚脱感もあり、予定が無い日はやはり一抹の寂しさはあります。
「社会(仕事)は上、家庭は下、としたような評価が世間には抜きがたくあり、その格付けイメージにだれもがとらわれている・・。ようするに上下意識の問題である。忙しい人は上、暇な人は下、有名は上、無名は下、文学は上、大衆小説は下、官は上、民は下・・。世間の上下意識は不動・・わたしは好きでない。小田実の「人間みなチョボチョボや」というのは正しいのである。
著者はなにもしない日々を、こんなことでいいのか、と自らを責めることはしない。社会のため、人のために生きている定年退職者がいるのに、恥ずかしいと思わないのかといわれても、そうは感じない。それは自分の性分であり自由だ、とも。若い人に対しては、こんな生きている屍のような定年後は嫌だな、と思われるかもしれないが、若い人はせいぜいがんばってください、と。(笑)
何も為さないようでいても著者は、すでに退職後に4冊の力作、「定年後」シリーズを出版し、しかもそこそこビッグセールとなっています。著者が言われるほど何もしていないわけではなく、うらやましいようにも見えますが・・(笑)
淡々とした日々、役に立たない毎日をよしとする・・。それが「さらなる定年後のリアル」・・共感できるところ多しでした。
一世を風靡したOBたちによる還暦バンド「バカばっか」の一曲を♪
【木工さんの写真】矢嶋秀一作 フォト 田口大輔
文庫 さらなる定年後のリアル (草思社文庫) | |
瀬古浩爾 | |
草思社 |
BACA-BACCA / 月のない夜
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