ポポロ通信舎

(旧・ポポロの広場)姿勢は低く、理想は高く。真理は常に少数から・・

「生前退位」への想い

2016年12月27日 | 研究・書籍

今年7月10日の参院選投開票日の後13日、NHKのスクープで「天皇陛下の生前退位の意向」が報道。そして8月8日、「平成の玉音放送」ともいえるビデオメッセージ(お言葉)が国民に向けられて伝えられました。

予備知識として「国体」と「政体」のちがいを整理しておきましょう。
国体」・・・国家の状態、国柄、国家体制 (Constitution)
政体」・・・国家の組織状態、統治権の運用形式(Government)

『天皇陛下「生前退位」への想い』(保坂正康著)を読みました。
今上天皇は、これまでの明治天皇、大正天皇、昭和天皇のように、制度上も天皇の意識も「国体」の下に「政体」があるのではなく「政体」が「国体」の上にあるか、あるいはこの二つは一体化しているという考えだと思われる。「象徴」とはその点を指しているとも考えられる。国民への呼びかけもその姿勢からだろう。こうした前提を踏まえたうえで「お言葉」の内容について精査していく必要があるだろう。(本文より)

 

象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば(宮内庁提供)

 

平成の玉音・人間宣言

「生前退位」が浮上した背景、その理由は何なのか・・。
お言葉の最初の「私が個人として」も重要な部分。また最後に「・・ここに私の気持ちをお話しいたしました」で終わってもかまわないところを、あえて「国民の理解を得られることを切に願っています」と国民に直接呼びかけた点は、昭和史を振りかえり天皇と国民という構図をつくったきわめて重大なこと。このことをもっても平成の玉音放送であり、平成の人間宣言でもあるといえるのではないか、と。「平和への希求」「皇統を守る」お気持ちからの意思表示について私たち国民がどれほどの想像力を働かせて理解してして応えるか、その自覚を促される想いでした。

 

天皇陛下「生前退位」への想い
保坂正康 著
毎日新聞出版
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