ポポロ通信舎

(旧・ポポロの広場)姿勢は低く、理想は高く。真理は常に少数から・・

食糧は貴金属ハイテク品に勝る

2015年02月15日 | 経済

食糧難の時代では農家上位

終戦直後、日本は食糧難に見舞われ都会に住む人達は高価な着物や貴金属を農家に持って行き頭を深々と下げお米や野菜に換えてもらった。私も親からその体験談をよく聞かされました。戦後しばらく、お米は配給制。各家庭で米穀店に通帳を持参し買いに行っていたことを思い出します。

食糧は絶対必需品なのです。いざとなればハイテク製品や宝石以上の価値を示します。ですから非常時でも国民が他国に頼らなくても自国で生存できる「自給率の確保」は大事。国を守る自衛権と同じように、胃袋を守ることは独立国の必須条件です。そこが「食糧安保」ともいわれるゆえんでしょう。

TPPへの道は日本の食糧自給率を確実に下げます。農業離れが一層、いやもしかしたら絶望的に加速するかもしれません。TPP推進の人たちは「そのためにも農業の国際競争力を付けるのだ」と言うでしょう、農業の企業化は良いとして、もし競争力が無いからといって国内農業の淘汰を認めたらどうなるでしょう。

米国もしっかり保護政策

米国も農業はしっかり保護し下支えをしています。「強化された米国の酪農保護政策、政府が再生産を実質保証」の『全酪新報』の見出しをご参照ください=写真。農業は国家的に保護されてしかるべき産業なのです。

今回の農協改革を、そのまま「改革」とは受け取れません。全中の監査権を制限し社団法人化して準組合員のJA利用制限をすることが、果たして農業・農民の生産・生活向上、自給率の確保につながるのでしょうか。

ご参考までに、在日米国商工会議所(ACCJ)の意見書には、「JAグループは日本の農業を強化し、かつ日本の経済成長を資する形で組織改革を行うべき」として具体的な指摘がなされています。PDF資料もご覧ください⇒http://www.accj.or.jp/images/140604_JA_Kyosai_INSC_BFCM.pdf

国内農業・自給率は譲れない

俗に大人になることを「自分でご飯が食べられるようになった」とか「これで飯が食えて一人前だ」などと日本語の表現にはあります。おまんまをヨソ様(外国)にますます頼ってしまうようでは、とても一人前(独立国)とはいえないと思います。
一般に農業問題では「日本農業を守る」が革新リベラル側の主張。「農業を競争にかける」が保守陣営の見方のような流れになっています。ここでも左右のねじれを感じますね。食糧安保の重要性を顧みるならば、保守、革新問わず「自給率確保」の一点で一致団結しなければならないと思うのですが・・。

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食料自給率100%を目ざさない国に未来はない
 島崎治道(法政大 食と農研究所特任研究員)
集英社
コメント
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