半沢やあまちゃん以上の社会性
『半沢直樹』や『あまちゃん』が話題を呼んだ今年のテレビドラマ界ですが、私は何といっても社会性の面からは『ダンダリン・労働基準監督官』(日本テレビ22:00水曜)を一押ししたい。
昨日の第4話は「学生絶望!?内定切り企業に唸れ」でした。ダンダリン(段田凛=竹内結子)が、弱い内定学生の側に立って唸(うな)った、唸った。
六法を片手に見る
私は労働基準法の入っている基本六法を横に置いた。六法を手にテレビドラマを見るのはこれが初めて。六法は役に立った。監督官のダンダリンから事情を聴きとられた女子学生が、会社の人事部長にそのことを知られ内定辞退をするか、もしくは入社後も冷遇すると脅される。「これは明らかに労基法第104条※2項違反!」とダンダリン。
※「監督機関に対する申告」として104条は「労働者は行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる。申告したことを理由に解雇その他不利益な取り扱いをしてはならない」
会社首脳は社会保険労務士に知恵を求める。そして104条への対抗策として、すべてを人事部長個人の責任に帰することにする。その顛末を「茶番だ!」と唸るダンダ。「人事部長も労働者だ。自分たちが救う対象だ」と大局からつぶやくダンダリン。
労働者のユートピアはいずこに・・
ダンダリンは時々カールヘルマン・ブッセ(ドイツの詩人)の「山のあなたの空遠く 幸い住むと人の言う」の一節を口にする。なぜこの詩なのだろう・・。この詩は「山の向こうには幸せがあるという。しかし行ってみたけど何もなく失望した。そしたらもっと、ずっと向こうに行けば幸せがあるかもしれない・・」の意味。
労働者の幸せは、果たしてどこにあるのだろうか。もっともっと先なのだろうか・・。
ダンダリン一〇一 (モーニングKC) | |
とんたにたかし(原作) | |
講談社 |