ポポロ通信舎

(旧・ポポロの広場)姿勢は低く、理想は高く。真理は常に少数から・・

除染でなく避難を! 少年Hも思う

2013年09月10日 | 原発震災・原発問題

「現場は苦悩。除染してもまた汚染される」と福島第一原発事故で弱り果てている様子の取材レポートが放映されました。8月29日のテレビ朝日の「そもそも総研」。動画の経過10分から13分に南相馬市で除染活動をされている吉田邦博さんの言葉が重い。「住民が逃げないため・・経済が成り立たなくなる・・除染という言葉で“魔法をかけた”・・」
実際に熱心に作業を行っておられる人の実感であり貴重な証言と思いました。

除染活動と戦時の消火訓練

いま『少年H』(妹尾河童著)を読んでいます。戦時中、それも敗色濃い戦争末期に全国各地で隣組総動員でバケツリレーによる防空訓練(消火訓練)が行われていました。少年Hに、消防士だった父親が話しました。「正直言うと敵機が何十機もきたら火は消せんのや。こういう手のつけられない火災を消防の言葉で“放任火災”というてんのや。国民に本当のことを知らせたら大混乱になるし軍への不信が募って戦意がなくなるから全員同じ方向に団結させるために防災訓練という『お札(ふだ)』が必要なんや。これは極秘や、お母ちゃんにも云うたらいかん」・・・。実際その後の神戸空襲で敵機の大編隊を前に消火訓練が意味をなさなかったことを少年Hは実体験しています。

いま高濃度の汚染地域で行われている「除染活動」と戦時中の「消火訓練」・・良く似ていると思いませんか。南相馬の吉田さんの話しを聞きながら、少年Hのお父さんの言葉を思い出してしまいました。

 

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少年H〈上巻〉 (新潮文庫)
妹尾河童
新潮社
 

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