広域がれき処理の矛盾点は内美まどかさんのマンガ『ガレキ受け入れが東北復興のためになるって思ってませんか?』が明快で説得力がありました。今またTPPの問題について、料理家で市民運動家の安田美絵さんの著書が分かりやすく傑作です。題して『サルでもわかるTPP』。
第一の争点は「原発」だが
来る12月16日の衆院選は、原発再稼働、TPP加入、消費増税など、国民の生活に直結し、日本および世界の未来をも決める大事な選挙となります。3.11以降、原発問題は国家や広くは人類の行く末を左右するものとして今回の総選挙に限らず、放射能汚染の半減期が延々と続くようにこれからは永く国政選挙では最重要争点として問われるでしょう。かつて小泉郵政選挙では、「イラク派兵」をスルーして、「郵政」一本に国民の目を引き付け大勝した。人の命が直接脅かされる問題が第一義であったにもかかわらず。
野田政権も似た手法で「TPP」問題の是非を党内にも外に対しても向けて争点化しようとしているようにみえる。きっと閣議決定さえできなかった苦手の「原発」を正面に据えたくはないのでしょう。原発問題は戦争と同様、直接多くの人々の生命と健康を危険にさらします。私は今も毎時10億ベクレルを放出している福島原発では「局地戦」が展開され続けていると見ています。
有権者もTPPについて知識を持とう
野田政権が「原発」でなく「TPP」を争点とするならばTPPについて有権者側もしっかり知識を得て正確に判断しなければならないでしょう。あらためて私もTPPについて勉強することにしました。そこ点『サルでもわかるTPP』は良いテキストです。9章ではリガード経済学まで登場し最近のおサルさんのレベルはあなどれないと思いました。
TPP秘密列車からの飛び降りはムリ
それにしても知れば知るほど疑問だらけのTPPです。まず、TPPは交渉内容を公表しない合意がある。つまり秘密のうちに交渉するという。さらにTPP発効後4年間は秘密の状態のまま・・。こんな怪しい条約ってあるのだろうか。「交渉だけなら参加したらいい」という意見も一方で根強くありますが、途中下車はかなり厳しいでしょう。秘密を前提とした密室の電車からは降りようにも密閉されたドアが開かない状態になっていると覚悟しなければならない。戦時中の青空列車のイメージではない。乗ったら最後、密室列車は闇夜にひたすら進む、と考えなければならないでしょう。
曲者はISD条項
それからTPPに含まれる「ISD条項」が曲者だ。この条項によって脱原発ができなくなる可能性があります。ISD条項は投資家が国家を訴えることを可能にする制度。(対企業ではない国家であることに注意)実際にこのISD条項のせいで、脱原発を決めたドイツ政府は、国内の原発に投資していたスウェーデンのエネルギー企業から訴えられているという(現在係争中)。
TPP参加と脱原発は両立しない
日本でも東芝、日立、三菱などの原発メーカーに外国企業が投資している。仮に国会で原発即時ゼロが決まったとしても、外国企業がそれを不服として訴えれば、巨額の賠償金が足かせとなって結局は脱原発ができない、ということになりかねないのです。・・ということは脱原発を進めるためにはTPP阻止が必要不可欠ということになりそうです。
ご参照 「サルでもわかるTPP」http://project99.jp/?page_id=75