一風変わった全ページ青色の冊子『情報の呼吸法』津田大介著(朝日出版社)を読んでみました。副題は「発信しなければ、得るものはなし」。
津田大介の考え方、生き方、面白いしうなずけるところが多かった。「発信しなければれば、得るものはなし」とは確かにその通りと思いますが、発信すれば得るものはある反面、リスクも伴うこともあります。発信をしなければ、危険はない・・。その辺の兼ね合いはむずかしいところです。
仮想現実を脱したソーシャルメディア
3.11東日本大震災では既存のメディアとソーシャルメディアがそれぞれの得意分野で連携を果たす。震災以来マスメディアへの全幅の信頼は一層陰りをみせ、相対的にネットを中心としたソーシャルメディアのポジションが上がったといえます。インターネットはすでにバーチャルの空間にとどまらず、現実のものの一部として、人をつなぐ新しいコミュニケーションインフラになってきています。パソコン通信時代の「オフ会」をルーツとした場面は、さらにすそ野を広げ、人と人との結びつきの貢献にその価値を高めています。
1割の否定評価を引きずらない
津田氏はエゴサーチ(自分評価調べ)をしている。自分に対して他者が「1割のネガティブ評価」をしても傷ついたり引きずったりはしないという。9割のポジティブに目を向け前進するということだ。この辺の強さは見習いたいものです。
レディー・ガガの覚悟
レディー・ガガは「私にはプライベートなんか要らない、全部見られても問題ない」とし自分が共有物になっていることをいとわない。今のネット時代をよく理解しているエンターテイナーだと津田氏は評価する。情報発信しないことにはリターンはないことはショービジネスの社会ならなおさらかもしれない。「ぼく(津田)みたいな金髪が多様性の隙間のなかで許容されているのもソーシャルメディアのもつ自由な文化」と語る。
市町村合併を超えるネットローカルコミュニティ
ローカルコミュニティの再定義としては、地方の限界集落化、過疎化は合併してコミュニティ単位を大きくしたところで限界がある。今震災後、高台移転で南三陸町(宮城)といわき市(福島)が情報を共有して解決法を探っていますが、これこそ形だけの「合併」に勝るものとして地方行政にも目を向ける。
海賊党の立ち上げに期待
「われわれは、情報とソーシャルメディアの新しい武器を手にしたことで未来を『発明』できる立場にいる」としめくくる津田大介。改めて、彼に日本版海賊党を結党しいち早く立ち上げていただきたいと願うばかりです。
情報の呼吸法 (アイデアインク) | |
津田大介 著 | |
朝日出版社 |
日独「震災とメディア」シンポ 津田大介(Daisuke TSUDA)1/4