魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

アオブダイ属のベイビーズ

2024年01月21日 07時57分48秒 | 水中写真

前回までの動画で、水中カメラで写真や動画を撮影した場所とは少し離れた場所であるが、ここでは先ほどご紹介したような大きなチョウチョウウオ類やカワハギなどは少ない場所である。その代わりこのポイントではベラやブダイといった、やや小型の魚が多数群れている。このぶろぐの読者であれば、昨2023年の秋にカミナリベラを撮影した場所、といえば通りが早いだろうか。大きなツノダシやオヤビッチャが群れているが、これらの魚はこのあたりではどこにでもいる。

2021年にこの場所を訪れたときには、この場所はブダイ科アオブダイ属の幼魚がたくさんいた。まずは上の写真のニシキブダイの幼魚。黄色い吻端と白い尾柄が特徴である。成魚の雌相は褐色であるが、雄相はこの属のほかの種と同様に鮮やかなグリーンになる。余談であるがこの場所はカミナリベラが多い。この時もこのニシキブダイの後方にカミナリベラの雌相の姿が見える。なお筆者はカミナリベラは釣ったことがなく、当然幼魚以外は網にも水槽にも入れたことがない。なお、高知県からは本種によくにたイトヒキブダイの幼魚が柏島から出ている、というけど、本当かな?

中央はアミメブダイ、左の方でキンセンイシモチとにらみ合っているのはおそらくまた別のアオブダイ属の幼魚である。一番左は、先ほど紹介したニシキブダイの子。アミメブダイの幼魚は尾柄が青白く輝く。頭部には2本の金色の縦縞が輝く美しいブダイである。キンセンイシモチとにらみ合っている茶褐色のブダイは種不明であるが、アオブダイ属ではあるだろう。イチモンジブダイやヒブダイあたりの可能性もある。

高速遊泳しているアミメブダイの幼魚。尾柄付近の色がこれほど青いと、水中写真でもニシキブダイとの違いが分かりやすいといえる。

そして最後にブチブダイ(右上)。写真は酷いものになってしまっているが、尾鰭の基部に大きな二つの黒色点と白い横帯が特徴である。体側には青い点がならび、ベラ科のホクトベラを思わせる美しい色彩である。成魚はかつてこのぶろぐでご紹介したように、紫色の体にグリーンの点という色彩になる。下の「魚のぶろぐ」の文字の上あたりに写っているのはおそらく先ほどのアオブダイ属の幼魚と同一個体である。これら4種のブダイが、このあたりの浅いコケの生えた岩を更地にしていく。2023年に同じ場所でカメラを沈めたときは、残念ながらブダイの姿はなく、アカハタやヒメフエダイ、バラフエダイがたくさん見られた。これらの魚の餌になってしまったのかもしれない。

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スミツキベラ

2024年01月20日 11時42分56秒 | 水中写真

ベラ科の中でも、タキベラ亜科の水中写真を紹介するのはおそらくこのぶろぐでははじめてだろう。写真のタキベラ属の種であるスミツキベラは10年以上前からこの近辺をうろうろしている(同一個体かは不明)が、なぜかなかなか釣れてくれない魚である。一度だけ釣れた個体を見せてもらい入手したことがあるが、それっきりである。好奇心が強く、水中カメラには近寄って来るのだが、おそらくこのカメラにうつった自分の姿を同種だと勘違いしているのかもしれない。餌には興味を見せるのだが、警戒心は極めて強く、なかなかハリにかからない。その様は警戒心が強いがときに貪欲になるという、防波堤からの落とし込みでつれるクロダイをほうふつとさせるものだ。

この近辺ではこのスミツキベラのほか、モンツキベラやキツネベラが見られる。このスミツキベラはこの2種と違い、体の前半分と後半分が別の色で塗分けられていること、背鰭と臀鰭に黒色斑があること、背中に白い斑点がないこと、体側後方に大きな黒色斑を有さないことなどで見分けられる。この属のフタホシキツネベラやモンツキベラなどは飼育したことがあるのだが、このスミツキベラは釣れたことがない。いつか元気な個体を採集して飼育したいものである。もっとも、タキベラ亜科の魚は動物食性が強く、また性格はややきつめ、混泳する魚はよく吟味する必要があるのだが。

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トゲチョウチョウウオ&フウライチョウチョウウオ

2024年01月19日 08時13分52秒 | 水中写真

高知県の海といえば、チョウチョウウオ科をはじめとして熱帯性の海水魚も多くみられる。しかし、このポイントはチョウチョウウオ科・チョウチョウウオ属は多くはない。写真のトゲチョウチョウウオとフウライチョウチョウウオであれば、毎年見ることができるのはもちろん、真冬でさえぴんぴんしているのを見ることができるのだが、このほかにはチョウチョウウオ、トノサマダイしか見られない。年によってはミゾレチョウチョウウオ、アケボノチョウチョウウオ、ミスジチョウチョウウオ、チョウハンを見ることができるという程度である。この周りにはサンゴ礁が存在しないので、ポリプ食性のチョウチョウウオがほとんど見られないのもチョウチョウウオが少ない理由であろうか。

沖縄ではトゲチョウチョウウオは餌をよく食い釣ることができるのに、九州以北ではある程度のサイズでも釣ることができないのは何故なのだろうか。泳いでチョウチョウウオ属を採集する技術がない私には、高知のチョウチョウウオ属魚類をなかなか「採集した魚一覧」に追加できない。2匹ともよく太っていて釣り餌も少しは食っているのかもしれないが。

 

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オジサン呼称問題

2024年01月18日 08時57分27秒 | 魚類とインターネット

今日2発めは軽~くいきます。

さて、この間は新年早々、激しい意見のやり取りがあった。魚関係の某サイトで、ウミヒゴイ属の魚について「オジサン」としてひとまとめにされていた。それについてコメントしたら、サイト運営者の某氏とかなり激しい意見のやりとりとなった。

某氏は「魚類学者ではなく、一般向けのページです」と、言っているが、一般向けならなおさら標準和名を掲載するべきなのではなかろうか。地方名を大事にしたいということもわかるのだが、ある魚の種の標準和名と同じ名前を別の種の魚の地方名や俗名にすると明らかに混乱してしまう。ドンコの刺身という料理もあるが、この場合「ドンコ」とは地方名を指すもので、種の標準和名「ドンコ」で刺身をつくるとえらいことになるだろう。つまり、病気になったり、場合によっては命を落としかねない。そもそも、一般人も、魚類学者も、だれもかれもが使える普遍的で安定した名称として標準和名があるのに、わざわざ混乱を招く必要もないと思うのだが。とくに某氏のサイトは影響力が非常に強いので、なおさらである。

さて、みなさんはどう思われますか?この「魚のぶろぐ」は誰でもコメントを残すことができるようにしてありますので、コメントご自由にどうぞ。写真は三重県尾鷲の定置網に入網したオジサン。オジサンはなぜかめったに定置網に入らない。定置網に入網した個体を見たのは、この尾鷲の個体が今のところ最初で最後である。このほかオキナヒメジやタカサゴヒメジの幼魚、ヒメジの成魚も網に入っていた。

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キタマクラ

2024年01月18日 08時13分41秒 | 水中写真

フグ目・フグ科・キタマクラ属のキタマクラ。キタマクラは昨年も紹介したが、昨年紹介したのは薄い白っぽい体に茶色い縦線が入る幼魚であったが、成魚はこのような茶褐色の体で、茶色の縦線は薄くあまり目立たなくなる。体長15cmほどになるというが、この個体は12cmくらいだろうか(まわりのソラスズメダイとの体サイズの比較)。

キタマクラとカワハギ。どちらもフグ目の魚である。遠景ではカワハギによく似ており、実際にSNSなどのコミュニティにおいて、キタマクラについて知らない人が「これはカワハギでしょうか?」と質問することがたまにある。が、釣り人からの評価については180°正反対である。このキタマクラは身は無毒なのだが、皮膚や肝臓、腸などに毒があり食用禁止ふぐとされる。そもそもフグ科の魚の素人料理は危険である。キタマクラは雌や幼魚は地味な色彩ではあるが、雄成魚は派手な色になったりする。

分布域は福島県以南の太平洋岸~琉球列島。国外ではインドー西太平洋に生息する。ハワイ諸島にもいるが、魚類検索第三版では同諸島についての記述はない。ハワイ産の個体は別種とされそうなのか、そもそも「西太平洋」というのが誤記なのか。高知県ではどこの海でもほぼ周年見られ、このポイントでは昼間に防波堤で釣り糸を垂らせば100%姿を見ることができる。九州北部にもいるようだが、残念ながら玄界灘ではその姿を見たことはない。クサフグとコモンフグが多く、トラフグ属以外ではサバフグと、冬季に沿岸の砂浜を埋め尽くすハリセンボンに混ざるホシフグくらいのものであった。

キタマクラの仲間は観賞魚として飼育されることもある。ただしサンゴをかじったりすることもあるので、あまり初心者向けの魚とはいえないところがある。またフグ科・ハコフグ科全般にいえることではあるが、ほかの魚と飼育していると皮膚から毒を出す危険性がある魚については、それに対応できない初心者には飼育はおすすめできない。

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