魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

ニシキベラ

2024年01月26日 11時23分15秒 | 水中写真

このニシキベラも、高知県の海では高い確率で出会うことができる魚である。この防波堤では南方性のベラ科魚類が多く、本種の含まれるベラ科ニシキベラ属はヤマブキベラ、オトメベラなどに出会うことができ、いずれも成魚も見ることができる。この近隣ではほかにコガシラベラもいるがほぼ幼魚である。一方、ハコベラ、ヤンセンニシキベラ、リュウグウベラ、セナスジベラは姿を見たことがあるが絶滅してしまったのか、最近は全く姿を見せなくなった。ここ近年は冬季に高知県南部でも積雪することがあり、寒さに耐えられなくなったのだろうか。上記のベラは寒さにも耐性があるのかもしれない。またニシキベラは温帯の種であり、このあたりでは周年いる一方、琉球列島ではあまり見られない。

ニシキベラといえば派手な色彩というイメージが強く、飼育しているとその派手な姿を楽しめるが、実際に海に潜ってみるとニシキベラは暗くて濃い緑色であまりカラフルなものではない。光の当たり方なども影響しているのだろうか。小さな群れで浅い磯に潜む甲殻類や軟体動物、ゴカイ類を捕食し、釣り人の仕掛けにも食いつく。しかしながら味のほうはあまりよくなく、キュウセンのように喜ばれることはない。奥にいるのはニラミギンポだが、ベラに擬態しているのかも?

いつも9~10月に訪問することが多いためニシキベラは大きいものが多いのだが、5月の連休にこの磯を訪れたときには全長1cmほどのかわいい幼魚が採集できた。ニシキベラ属の成長速度は不明であるが、大体初夏産卵だという。ただ、もしかしたら4月にも産卵している可能性はあるだろう。幼魚はかわいいが、ヤドカリなどの甲殻類に襲われる可能性もあるため、これらのいる水槽にはいれられない。成長すると逆に甲殻類が大好物になる。成魚は90cm水槽で飼育するとよい。ニシキベラは雌雄差は小さいが、大きな雄は鮮やかな青色が美しい。

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カゴカキダイ

2024年01月25日 08時37分38秒 | 水中写真

この近辺で見られる黄色い魚はチョウチョウウオ類もいるが、大体鮮やかな黄色をしているのはこちらのほうである。カゴカキダイは高知県あたりでは定置網で漁獲されるが市場にはあまりでていない。ほかの魚とひとまとめにされたり、自家消費される程度。この場所では決して多いほうではないのだが、このときはブイに多数の個体が群がっていた。小さな針にオキアミをつけるとすぐに釣れる。引きは強いので意外と楽しい。奥にはオニハタタテダイも写っているが、オニハタタテダイは釣れたことがない。2020年に初めて見てそれ以降は何度か見ている。

今日は短いですがこの辺で。

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テンジクスズメダイ

2024年01月24日 08時13分04秒 | 水中写真

高知県の防波堤から海を眺めていると、たいていは黒いか、青いか、しましま。この写真の中で写っている黒いのはミツボシクロスズメダイ、ナガサキスズメダイ、そしてメジナ属。しましまなのはオヤビッチャ、そして中央のテンジクスズメダイ。

テンジクスズメダイはこのあたりで見られるオヤビッチャ属の中ではそこそこ見られる種である。ほか高知県に分布するオヤビッチャ属では、シチセンスズメダイとイソスズメダイは幼魚を確認したのみ、オヤビッチャとロクセンスズメダイは普通種で周年どこでも見られ、シマスズメダイはタイドプールや、磯の波打ち際にしか生息しない。ある程度水深がある防波堤では3番目に多くみられる種といえるだろう。

ブロッホが本種をChaetodon bengalensisとして記載したものでタイプ産地はベンガル湾。英語名も学名も「ベンガル」の文字が入り、標準和名にも「テンジク」と入る。インドから西太平洋にかけて分布し、タイの内湾でも見られるということで内湾性が強いものと思われる。この個体も漁港の中で腐った海藻や死んだ魚などがたくさん底の方に見られる中、悠々とおよいていたものである。オヤビッチャやロクセンスズメダイと一緒に、釣り餌を追いかけていた。

こちらは幼魚。幼魚は荒磯のタイドプールでも見られ、決して内湾オンリーに生息するというわけでないことを証明している。幼魚はこの防波堤では夏~秋にかけて毎年見ることができるが、成魚も見られる。ここはハタなど肉食魚も多いため、危険が迫ると左に開いた防波堤の隙間のような場所に逃げ込むのである。幼魚は関東でもよく見られ、四国や九州では普通種とされているが、琉球列島で獲れた、釣れたという話は聞いたことがない。「魚類写真資料データベース」では屋久島が今のところ南限らしい。だれか詳しくこのあたりを調べてほしいのだが。

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ツノハタタテダイ

2024年01月23日 04時05分55秒 | 水中写真

先日紹介した「ブダイの保育園」近辺で見られたチョウチョウウオ科・ハタタテダイ属のツノハタタテダイの幼魚を発見した。ツノハタタテダイはこの属の中では珍しいと思っているが、琉球列島ではそれなりに見られるし、高知はもちろん和歌山でも獲れる。もっと珍しいのはシマハタタテダイで、これだけはどこでも見たことはない。この近辺ではハタタテダイ科はハタタテダイ、ムレハタタテダイ、オニハタタテダイを確認しており、これで4種目、ということになるだろうか。

体は全体的にチョコレート色で、体側の2本の白色帯がオシャレである。食性は雑食性と思われ、この個体は岩に突いている付着生物を啄むように食していた。ソラスズメダイなど強そうな魚がやって来ると、棘をたてて防御のカマエをする。ツノハタタテダイの特徴である、眼上の棘はこのサイズではまだ顕著ではないのだろう。

このポイントは、この撮影場所付近ではチョウチョウウオ類の魚影が濃い。トゲチョウチョウウオやフウライチョウチョウウオなどはほぼ周年見られる。ただし1月ごろになるとかなり大きめのギンガメアジやカスミアジなどが回遊してくるのでこのチョウチョウウオの小さいのは食べられてしまう可能性もある。

奥からやって来るのがツノダシ。ハタタテダイ属とツノダシは、しばしば間違えられるのだが、本種に関しては色彩的にあまり間違えられることはないのかもしれない。ツノダシはこの港周辺であれば周年どこでもいる。

ツノハタタテダイは美味しい魚としても知られている。2021年の2月に石垣島からの大濱さんから届いたツノハタタテダイは刺身にして美味であった。観賞魚としても知られているが、ハタタテダイほど飼育しやすいものではなさそうである。

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ミナミハコフグ

2024年01月22日 07時26分54秒 | 水中写真

動画に移りこんでいたフグ目・ハコフグ科の魚。ずっと、このあたりのハコフグ属はハコフグだとばかり思っていた。しかし...

写真からでは見えにくいが、褐色の体色に、黒く縁どられた白色斑。ミナミハコフグである。このあたりではハコフグは成魚をよく見るが、幼魚はほとんど見られない。2007年に1個体採集したのみである。ミナミハコフグは幼魚さえ見たことがない。もっとも、ハコフグと誤認している可能性はあるが。ハコフグは実際には釣ったことがなく、網ですくったことがあるだけ。大型の雄の個体は青と黄色で某氏の帽子(駄洒落ではない!)そのものの色彩である。

ミナミハコフグも雌雄で色が若干ことなるらしく、雄はやはりハコフグと同じく青い色彩になるが、パターン的には大きく異なるので見分けは難しくないだろう。分布域はひろく、モーリシャス、南ア~ハワイ諸島まで達するが、西インド洋や紅海のものは色彩が大きく異なり別種とされることもあるようだ。日本では北海道から琉球列島まで記録があるが、幼魚のみの記録に基づく記録はハコフグの幼魚と混同されている可能性があり、怪しいかもしれない。観賞魚として人気はあるが、フグの仲間は皮膚から毒を出すし、餌も配合飼料を食うまでは時間がかかるし、あまり初心者向けとはいえない。

これと同じ場所で2010年に撮影したハコフグ。白色点は黒く縁どられず、数が多い。これは結構大型の個体である。2023年はハコフグは高知で見ることがなかった。たまたま見えるところにいなかっただけ、と信じたい。

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