水中写真で撮影したツノダシ。ツノダシは遊泳性が強く、藻類やカイメンなど付着した生物を捕食するため採集経験もないし、飼育が難しいとされる本種の飼育経験もない。このカマのような、長く伸びる背鰭で素早く泳げるのだろうか?とみんな考えるのだが、実は非常に素早く、スイスイと泳ぐ。
先述のようにツノダシは藻類やカイメンなどを捕食する魚である。右のほうにうつっているニザダイ科のヒレナガハギも同様に藻類やカイメンを捕食する。ニザダイ科の魚と食する餌が似ているのは偶然ではない。実はツノダシ科はニザダイ科に近いといわれているのだ。何気に中央には先日このぶろぐでもご紹介したニザダイが写っている。ツノダシによく似ている魚といえば、ハタタテダイを思い浮かべる方も多いであろうが、ハタタテダイはチョウチョウウオ科の魚でありまた別の科らしい。この辺はまた今度機会があれば。
このときはツノダシを見る機会が多かった。こちらは先ほどニザダイがいた場所とほど近い場所で撮影されたツノダシ。この場所ではいつも見られ(越冬していると思われる)、は単独やペア―でいることが多いが、パラオなど大群をつくるようなところもある。ほかのメジナやイスズミ、ブダイ類などの群れに混ざっていることも多い。これらの魚も藻類を好んで食べる雑食性の魚たちであり、一緒に群れていたら餌にありつくのに何かと便利なのだろう。藻類を好んで食べる魚というのは、大きな群れをつくることが多いのだ。アイゴやニザダイ類が通った後は海藻や藻類がなくなっている...なんてこともある。
ツノダシの飼育は難しいといわれている。全長20cmを超えるそこそこのサイズになることもその理由といえるのだが、餌が藻類やカイメンなどであるためなかなか餌付かないということ、ややデリケートな性格であること、病気にかかりやすいことなどがあげられる。また水槽で飼育するとその長いご自慢の鰭もほかの魚につつかれてじょじょに短くなっている、なんていうこともあるようだ。そのため私は飼育したことがなく、某飼育サイトではわざわざ飼育者のもとを訪ねている。なお、食用にもなるらしく、味のほうは結構おいしいとされている。