魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

ヒメスズメダイ

2024年01月17日 07時57分54秒 | 水中写真

さて、ソラスズメダイの群れに混ざっていたこの魚はヒメスズメダイという魚である。ソラスズメダイはスズメダイ科・ソラスズメダイ属であるが、ヒメスズメダイはスズメダイ科・ヒメスズメダイ属の魚。従来はスズメダイ属とされていたが、近年ヒメスズメダイ属が復活した。一方ササスズメダイ属はスズメダイ属におくべきと私考えている。もっともクマノミ類をほかのスズメダイと同じ亜科にうつすなどされているので、あまり信憑性はどうかと思うのだが。分子分類中心で得られた系統と思われ、微妙である。

ヒメスズメダイは採集されることはたまにあるが、観賞魚店で販売されることはほとんどない。いくつかの店舗でヒメスズメダイという名前で販売されているのは、別の種で東アフリカ産のブラックテールクロミスであることが多い。インドネシアなどからもラインドクロミスという別種が輸入されているが、これもあくまでラインドクロミスはラインドクロミスであり、ヒメスズメダイとは異なる種である。ヒメスズメダイはオーストラリア~マルケサス諸島にまで分布しているが、輸入されることはほとんどなく、沖縄産がわずかに来るくらい。

本種の特徴は臀鰭が真っ黒で、背鰭にも黒い線があること、写真で識別するのは困難であるが体側に青っぽい点列があることなどである。よく似た種としてはコビトスズメダイという種もいるが、この種は体側に点列がないことなどで見分けられ、同属のヒレグロスズメダイは体高がやや高めで背鰭基底後端に黒色斑があることなどで本種と見分けられる。

この海域ではスズメダイ属やヒメスズメダイ属については種類が多く、採集したり潜ってみただけでもマツバスズメダイ、ヒレグロスズメダイ、キホシスズメダイ、スズメダイ、コガネスズメダイ、アマミスズメダイ、シコクスズメダイ、タカサゴスズメダイといった種を見ている。このほか近辺ではデバスズメダイやらカブラヤスズメダイなども出ているようだ。深場ではトウカイスズメダイなども釣れるようである。このようにスズメダイ属やヒメスズメダイ属がそこそこいる場所なのだが、ヒメスズメダイを見たのは初めてであった。

最後に。松村香織さん18回目の17歳お誕生日おめでとうございます。

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カワハギ

2024年01月16日 08時40分25秒 | 水中写真

カワハギはこのぶろぐでも何度も紹介している...と思いきや、最後にカワハギが登場したのは2010年8月で、13年以上このぶろぐでは出てきていなかったらしい。このあたりの海は熱帯性の魚が多数みられ、温帯の魚は少ない。キュウセンやホンベラ、メバル類、アナハゼなどほとんど見ないが、その中で温帯性種であるカワハギはよく釣れる。漁港からのブッコミ釣りや砂底での投げ釣りで、シロギスとならぶターゲット。しかもこのあたりのカワハギ、なんかでかい。ヒトの顔くらいのものさえ見られる。

なぜこのあたりのカワハギがでかいのかは不明だが、餌も豊富であることが理由かもしれない。サンゴやカイメンの類も多いこの海であるが、あまりそれらを食べてほしくはないところ。肝が美味しい本種だけに、毒化してもらっては困るのだ。

この近辺ではモンガラカワハギ科の種はそれなりに見るがカワハギ科の種は少なく、ヨソギ、アミメハギ、ウスバハギ、ソウシハギと本種くらいで、しかも前二者は一度しか見たことがない。ハクセイハギ属の種もいるとは思われるのだが、少なくとも私は見たことがない。

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ツノダシ

2024年01月15日 08時10分47秒 | 水中写真

水中写真で撮影したツノダシ。ツノダシは遊泳性が強く、藻類やカイメンなど付着した生物を捕食するため採集経験もないし、飼育が難しいとされる本種の飼育経験もない。このカマのような、長く伸びる背鰭で素早く泳げるのだろうか?とみんな考えるのだが、実は非常に素早く、スイスイと泳ぐ。

先述のようにツノダシは藻類やカイメンなどを捕食する魚である。右のほうにうつっているニザダイ科のヒレナガハギも同様に藻類やカイメンを捕食する。ニザダイ科の魚と食する餌が似ているのは偶然ではない。実はツノダシ科はニザダイ科に近いといわれているのだ。何気に中央には先日このぶろぐでもご紹介したニザダイが写っている。ツノダシによく似ている魚といえば、ハタタテダイを思い浮かべる方も多いであろうが、ハタタテダイはチョウチョウウオ科の魚でありまた別の科らしい。この辺はまた今度機会があれば。

このときはツノダシを見る機会が多かった。こちらは先ほどニザダイがいた場所とほど近い場所で撮影されたツノダシ。この場所ではいつも見られ(越冬していると思われる)、は単独やペア―でいることが多いが、パラオなど大群をつくるようなところもある。ほかのメジナやイスズミ、ブダイ類などの群れに混ざっていることも多い。これらの魚も藻類を好んで食べる雑食性の魚たちであり、一緒に群れていたら餌にありつくのに何かと便利なのだろう。藻類を好んで食べる魚というのは、大きな群れをつくることが多いのだ。アイゴやニザダイ類が通った後は海藻や藻類がなくなっている...なんてこともある。

ツノダシの飼育は難しいといわれている。全長20cmを超えるそこそこのサイズになることもその理由といえるのだが、餌が藻類やカイメンなどであるためなかなか餌付かないということ、ややデリケートな性格であること、病気にかかりやすいことなどがあげられる。また水槽で飼育するとその長いご自慢の鰭もほかの魚につつかれてじょじょに短くなっている、なんていうこともあるようだ。そのため私は飼育したことがなく、某飼育サイトではわざわざ飼育者のもとを訪ねている。なお、食用にもなるらしく、味のほうは結構おいしいとされている。

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ソラスズメダイ

2024年01月14日 08時56分18秒 | 水中写真

昨2022年には海底をびっしり埋め尽くすように群れていたソラスズメダイも、今年はぱらぱらしか見られず。今年は海の中を見ていてもハタ科やフエダイ科、フサカサゴ科の魚がかなり目に付いたため、それらの餌になっていたのだろうと思われる。ガンガゼのいる場所や岩の隙間に小さな群れを見ることができた。小さいものは浅い岩礁域で群れをつくっていて、まあまあな数見られた。

動画ではどうしても暗くなってしまっている。青い色がなかなかうまく再現できない。これはまだうまく再現できた方。尾鰭や臀鰭の黄色がきれい。

ピンボケでぶれているが、傷がついていたソラスズメダイの姿もあった。ほかの魚かなにかに襲われたのだろうか。海は楽園のようなイメージもあるが、その中で生きていくというのはなかなか厳しいものである。今回はこのソラスズメダイのほか、自身初見のスズメダイもこのポイントに見られた。この魚についてはまた後日ご紹介したいと思っている。

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ニザダイ

2024年01月13日 18時53分34秒 | 水中写真

ニザダイ科・ニザダイ属のニザダイ。尾柄部に数個の骨質板があり、本種と容易に同定することができる。ニザダイ科の魚はこのポイントでは種類が豊富であるが、多いのはナガニザやサザナミハギ、シマハギ、クロハギ、ニセカンランハギなどであり、この「ニザダイのなかのニザダイ」である本種はこの場所ではほとんど見たことがない。沖合に浮かんでいる島や根などの場所ではそこそこ見られるのではないかと思う。

ニザダイは成魚では50cmほどになる大型種。そのため食用としても漁獲され、実際に宿毛市の漁港ではほかの魚、例えばカワハギやらイットウダイ科の魚やらと一緒に水揚げされていたところを見たことがある。しかしながら釣りにおいては「磯臭い」として嫌われることがある。本種は海藻や藻類、甲殻類などを食する雑食性の魚で、夏は臭みがあるという。しかししっかり処理すれば美味しくいただける魚である。生息地では小さな群れをつくっているというが、この個体はずっと単独で胸鰭を羽ばたかせながら泳ぎ、ほかの魚の群れには入ろうとはしなかった。

ニザダイ科の魚は日本においても40種以上が知られているが、このニザダイ属の魚は日本にはこの種のみ。海外ではインドネシア、オーストラリアやニュージーランドおよびその周辺海域、アメリカ西岸、西アフリカに合計7種が知られている。

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