魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

しものせき水族館(2)

2012年10月11日 22時16分22秒 | 水族館・博物館

前の記事では一般の魚好きの観点で記事を書いていましたが、今回はアクアリストの観点で「しものせき水族館」の記事を書きたいと思います。前回の記事を見てからどうぞ...。

 
 
古代魚シーラカンス。硬骨魚類の中でも、私たちが良く知っている魚・・・たとえば、サンマ、マダイ、マハタ、クサフグ、前回のギンイソイワシなどの含まれる条鰭綱ではなく、肉鰭綱に分類されています。長いこと、大きく姿を変えずに生きている、まさに「生きた化石」です。

 

 
変わった形状の水槽の中には、汽水のフグがいました。以前名古屋の観賞魚店にごくたまに入荷していたフグではないかと思われます。学名などは不明。ルックスは海産のトラフグ属の魚ににていまして、体側の背部にある白色斑がとてもきれいなフグです。
 
 
これも結構珍しいミゾレフグの黄色個体。最近一部の観賞魚店に入っていましたが、普通のミゾレフグよりもずっと高価です。まあ、珍しいものなので、仕方がないでしょう。分布域はインド・太平洋に広く分布し、キングエンゼルや、ブルースポットジョーフィッシュが見られるような、東太平洋の海にも見られるそうです。
 
この水槽にはフグ目以外の魚も1種。ベラ科のホンソメワケベラがいます。フグの仲間には寄生虫が多くつくのですが、ある程度の対処にはなるのでしょうか。フグの仲間やホンソメワケベラの仲間はほかの魚に比べると白点病にかかりやすいようです。しかしこの水槽のように大きく安定した水質が維持できる水槽ならば、ホンソメワケベラとミゾレフグのコンビネーションも組めるのですね・・・
 
こちらのフグはアラレフグです。眼の模様が他のフグとは異なっています。かなり大型になるフグのようで、この水槽に入っているほかのフグ(モヨウフグやネズミフグなど)も同じようなサイズでした。アラレフグなんて、どこで採集するんでしょう。とてもうらやましいものですね。
 
 
こちらは下関近海の海藻の展示です。海藻の飼育はかなり難しいのですが、この水槽の様子はある程度のヒントになるかもしれません。この水槽の中の海藻たちは、水流でかなりたなびいていました。ウミタナゴ類などの魚が状態よく飼育されており、この水槽の水温も低いんだと思われます。
 
 
サンゴ水槽。ニホンアワサンゴというサンゴです。結構きれいです。山口県の群体の保全も行われ、このような飼育によっての維持活動なども行われています。
 
 
こちらは陰日性のサンゴの水槽。キサンゴやハナタテサンゴなどでしょうか。
 
キッカサンゴやシコロサンゴと思われるサンゴ。手前にはトサカの仲間のソフトコーラルも見えます。
 
 
スズメダイ科ダンダラスズメダイ属のモナーチダムゼル。スズメダイの仲間は魚混泳水槽に入れると喧嘩をすることが多いので、単独での飼育になります。小さいサンゴ水槽に、パウダー砂というのは、あまりすすめにくいかもしれません。この個体は、この大型のサンゴ礁魚水槽で、砂をかなり舞い上がらせていました。
 
まわりを泳ぐのは温和なテンジクダイ科のイトヒキテンジクダイ。小さな水槽で飼うとかなり臆病ですが、大型水槽で飼育するならば、大型スズメダイとも大丈夫なのか、と驚かされます。
 
 
テラリウム水槽にあったミズゴケ。これはとてもきれいです。完成度もかなり高かったです。この水槽には蓋がなかったのですが、オイカワなどはよく飛び出さないですね・・・
 
 
資金の問題さえ解決すれば、このようなはめ込み式水槽を置いてみたいという人も多いでしょう。なぜか魚がとてもよい色に見えます。レイアウトについても、とても良い感じになっています。魚は南米にこだわり、カラシン科の魚や、ディスカスなどが入っていました。
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ギンイソイワシ

2012年10月10日 22時03分49秒 | 魚紹介
 
 
今回の島勝浦での最大の成果、といってもいいのが、このギンイソイワシ。

ギンイソイワシは「イワシ」という名前がついていますがイワシの仲間ではなく、トウゴロウイワシ目と呼ばれるグループの魚です。トウゴロウイワシの仲間は熱帯域に種類が多いものですが、南日本の沿岸でも数種類を見ることができます。

 
 
ギンイソイワシ属の魚はこれまであまり縁がなく、ここ10年ほどは無縁の魚でした。今回は、きちんとこの仲間を見分けられるようになってからは、初めて釣ったと思います。
 
 
九州地方以北の沿岸に多いのは、この種類とトウゴロウイワシです。この2種は横からみて同定するのは難しいのですが、腹部をみると容易にわかります。ギンイソイワシの場合肛門は腹鰭の後端より少し後方に開孔するのですが、トウゴロウイワシでは腹鰭の基部と後端の間に開くのが特徴となっています。
 
三重県周辺ではこのギンイソイワシのほか、ヤクシマイワシを確認しています。トウゴロウイワシもおそらく生息すると思われます。
 
 
上から見ると普通のイワシの仲間のよう。横から見るとボラの仲間のようですが、トウゴロウイワシ目とボラ目魚類は、タウナギ目、トゲウオ目、ダツ目、カダヤシ目、およびエラッソマ目からなる「スメグマモルフ系」のグループの一員とされているものの、姉妹群であるとすべき意見や、これに反対する意見などあり、まだまだスメグマモルフ系の全体像を含め、研究が必要なグループです。
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海の煌き

2012年10月09日 22時04分49秒 | 魚介類採集(海水)

 
今日は島勝浦の2回目。港の中から海中をのぞくと、さまざまな生き物たちの様子を見ることができます。
このイカの子たちはアオリイカかな。もう少し大きいものもたくさん港の中に見られました。

 
ツノダシZanclus cornutus (Linnaeus)や、チョウチョウウオ、熱帯性のベラなどの魚も良く見られます。これらは、最近は冬になっても死滅しないので地域によっては「死滅回遊魚」といわないかもしれません。ツノダシ科のツノダシも最近はあちこちのポイントで見かける種類です。この漁港ではほかにハタタテダイの子も見られました。もう少し北に行くと、ミナミハタタテダイも採集されています。
 
 
この種類は最近ほぼ年中見られるようになっているソラスズメダイPomacentrus coelestis Jordan and Starksの幼魚。カキの殻の周りについている藻類を捕食しているのでしょうか。餌をまいたらすぐによってきます。手網で簡単にすくう事ができますので、子供たちの良い遊び相手になってくれるでしょう。
 
 
ソラスズメダイPomacentrus coelestis Jordan and Starksと一緒に写っているスズメダイはロクセンスズメダイAbudefduf sexfasciatus (Lacepède)。オヤビッチャ属のスズメダイ科魚類です。この種はオヤビッチャと比べ熱帯域に多い印象があるのですが、この場所ではオヤビッチャよりも多かったです。この場所では他にテンジクスズメダイも見られます。
 
 
熱帯域の煌く魚たちから、温帯の海に多い魚まで、10月ごろまでは、さまざまな魚と出会うことができるでしょう。
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久しぶりに釣った魚

2012年10月08日 22時39分18秒 | 魚介類採集(海水)
 
昨日はお友達と三重県の紀北町・島勝浦港へといってきました。台風接近が心配されていましたが、行いがよいのか(?)、何とか晴れてくれました。
三重県の島勝浦は、温帯域の魚が多くつれます。写真ではソラスズメダイやハタタテダイの姿も確認できますが、温帯域の魚のなかで、久々に釣る事ができた魚が2種類ありました。
 
まずはコスジイシモチApogon endekataenia Bleeker。コスジイシモチは、自分では10年ぶりくらいに釣った魚です。父は6年くらい前に宇和島で釣っていましたけどね・・・
 
 
コスジイシモチは、オオスジイシモチによく似ていますが、体側にはオオスジイシモチよりも数の多い7本の縦帯 (オオスジイシモチでは4~5本) があります。縦帯はオオスジイシモチよりも細いように見えます。
体側の多数の縦線や黄色っぽい体色から、キンセンイシモチのグループにも似ていますが、尾柄部に黒色斑があることで容易に区別できます。
 
テンジクダイの仲間は、アポゴンと呼ばれますがこれは学名からきています。アポゴン属の和名は「テンジクダイ属」で、この仲間では最も大きいグループです。属の学名の意味は「髭のない(ヒメジの仲間)」というそうです。確かに背鰭が2基に分かれているなど、ヒメジ科魚類と似た点は多いですね。
 
この漁港ではベラ科の魚も多くいました。ホシササノハベラ、アカササノハベラ、オハグロベラ、ホンベラ、キュウセン、ニシキベラ、オトメベラ、クギベラ、タレクチベラ・・・。温帯域に生息するベラが多いのですが、残念ながらイトベラ、コブダイなどには出会えず。
ホシササノハベラPseudolabrus sieboldi Mabuchi and Nakaboが遊んでくれました。ホシササノハベラは温帯性の魚で、確か2008年に愛媛県で釣って以来につれたと思います。
 
 
アカササノハベラPseudolabrus eoethinus (Richardson)も遊んでくれました。アカササノハベラは去年に高知県で釣った魚でした。しかしこの魚を釣って感動がないというわけではありません。これとホシササノハベラが同じところで良く釣れるという話は良く聞きますが、実際に一日で両方の魚がつれるというのはなかなか経験がなかったので、嬉しい1匹となりました。
 
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フィリピン魚80.ヤスジチョウチョウウオ

2012年10月05日 21時49分45秒 | 魚紹介

フィリピン魚も今回で記念すべき80回目。 
 
今回の魚は、チョウチョウウオ科のヤスジチョウチョウウオChaetodon octofasciatus Bloch です。
 

ヤスジチョウチョウウオには、頭部から尾鰭の基部にかけて、8本の縦帯があります。これが標準和名や学名、英名Eightband butterflyfishの由来でしょう。

 
分布域は西部太平洋で、日本ではまれにしか見られません。奄美や沖縄でも少ないですが、宮崎市内でも発見し、写真が撮影されています。
 
●体の色彩
 
日本やフィリピンで見つかっているものは全身が白い、というよりもクリーム色ですが、パラオ、インドネシアなどで見つかっているヤスジチョウチョウウオは鮮やかな黄色をしています。これらについては同種なのか、それとも別種なのか。Fishbaseでは、インドネシア産の黄色い個体の写真が掲載されています。成魚・幼魚で体の色の違いはないようです。黄色いのは幼魚も黄色、白いのは幼魚も白いようです。模様も同じでまるで成魚をそのまま小さくしたよう。もっとも、本種は小型種で最大全長も12cmとまりとあります。
 
 
▲ヤスジチョウチョウウオの幼魚。斑紋も成魚と同じ。体側の上方には黒いしみのようなのがあるが、これはほかの標本写真にもある。模様なのか??
 
飼育については、あまりお勧めしません。ポリプ食のチョウチョウウオで、長期の飼育が困難という話もあります。もっともハナグロチョウチョウウオやオウギチョウチョウウオ、ハクテンカタギも最近餌を食べる個体が輸入されているそうですが・・・。
 
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