魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

大津で発見されたメキシコサラマンダー

2016年08月13日 02時05分49秒 | 環境問題

京都新聞のニュース。
「いじめ」(実際はリンチ事件)で有名な大津でおこった新たな「いじめ」。オリンピックイヤー、しかも開催期間中におこる、または発覚するいじめ。

どうでもいいけどKyoto-npって、Kyoko-npと似ている。検索してみるとやっぱり、Kyoko-npはKyoto-npをもじっているようだった。この記事も虚構新聞の記事であってほしいが(ちなみにKyoko-npは滋賀県の企業らしい)。


近所の川にウーパールーパーいた 大津 地元小学生が発見(京都新聞)ウーパールーパーというのはメキシコサラマンダーのアホロートル(幼形成熟した個体)のことをいう。なお、私はこの生物の写真は有していない。残念ながら、文字オンリーであるのはご容赦願いたい。


大津がある滋賀県は、大阪府と同じく近畿地方に属している。もちろん大阪のキンギョのニュースも大津市民の目または耳に入っているに違いない。それに触発されてやってしまったのだろうか。これに対し、山本公一氏、いったい何を思うのだろうか。環境の教育、生物多様性について学校で教えればこういう問題は起こらなくてすむはずなのだが、それをしようとしていない。おかしい法律についてはもうここで何度も触れたので略。


キンギョの放流に賛成するひとがメキシコサラマンダーの放流についても賛成しているかそうでないかはわからない。しかし今回はキンギョの放流よりも批判的なコメントが多い。キンギョも外来魚なのだが、それについては「どうせフナでしょw」なんてコメント欄に書き込む人が多いようだ。フナはコイと近縁であるが、このコイも外来生物特有の問題を引き起こしていることはよく知られていることである。アメリカは広大であるが、コイをその生息地から取り除くことは難しくはない。というのもアメリカ大陸ではコイはいなかったとされている。日本の国土はアメリカよりもずっとせまい。しかしコイをその生息地から取り除くことは難しい。なぜならば、日本にはもともと、在来のコイ属の魚がいたからである。しかしながらコイ属の同定は難しく、形態的なものでは同定できないことが多い。フナ属に至っては、もうわかるはずがない。形態はその個体により大きくかわるし、分子分類も難航している。それでも上記の人たちは「どうせフナでしょw」といったりするのだろうか。まあ、いうだろうなあ。


結局大型掲示板サイト「2ちゃんねる」や、そのまとめサイトでキンギョの放流に反対する人を罵った人たちはほかの意見に流されやすいのか、自然にも環境にも生物にも何ら関心がないのに40年しか続いていない行事を「伝統」といって、それを中止させようとした勇敢な人を「シーシェパード」やら「共産党」などといってののしっているだけである。関心がある人についても「意識高い系w」「じゃあお前は実際にだれかに抗議したのかよ」などと言ってののしっているが、こういう関心がある人というのは意識だ高い系でも何でもなく、川で遊んでいたり生き物が好きで実際に外来生物問題を現実的に目の当たりにした人たちであろう。

一方メキシコサラマンダーの放流について批判的な意見が多いというのは、明らかな外来生物であることをみな知っているからといえる。俗名「ウーパールーパー」の名前で輸入されたりして日本でも一時はやった。さらに名前に「メキシコ」という特定の国の名前もついていて、日本産ではなく、メキシコからきたものだとわかりやすい。もっとも「ウーパールーパー」という名前で販売されていることも多く、メキシコサラマンダーの名前で販売されることはほとんどない。また日本に生息している可能性がほとんどないのに「ニホンイトヨリ」なんていう標準和名の魚がいたりもするのだが。


Yahoo!のコメントを見ていると、キンギョの時とは違い「放流する人はペットを飼うべきではない」とか、そういう意見が多くなってきている。これも業界の団体だとか、あるいは西村さんの「日本淡水魚類愛護会」などのようなウェブサイトが「放流をやめましょう」というような周知を図ってきた成果が出ているのかもしれない。しかし中には「ペットの販売を規制しろ」だの、あるいは「外来生物の販売をやめさせるべき」などと「極論」を持ち出してきて述べるような人も出てきているのは事実である。ペットショップが悪いのか、あるいは外来の生物を輸入しようとする卸業者が悪いのか。

確かにすぐにほいほいと大型魚を含む生物を販売するペットショップにも問題があるのかもしれないが、一番悪いのは生物を野外に放った人である。環境省もキンギョ(外来生物)の放流については、(ある方のTwitterで問い合わせた様子が書かれていてだいぶ端折っている可能性があり、信憑性は不明だが)「禁止されていないが、するべきではない」という、おかしな発言をしている。もしこれが本当ならば、外来生物に対する環境省の考えがこれだから、外来生物の問題はなくならないのではないか。その地に生息していない生物を放流することを禁止するというのも条例レベルでは存在するが、条例だけでなく法律で定める必要があるだろう。


きわめて迷惑なお話だが、今後特定外来生物に指定され飼育が禁止されるような種も増えるだろう。指定が発表され、禁止されていない今のうちに河川に放流するのに罰則がないというのはおかしい。まずは日本に生息していないすべての生物の放流・放逐を禁止するルールを作るべきではないだろうか。ねえ、山本さん。

いずれにせよ今回のキンギョ、メキシコサラマンダーと続いた外来生物の放流問題。この手の問題で一番悲しんでいるのはアクアリストや、生き物が好きな人である。勝手に野にはなした人が一人二人いるだけでみなが迷惑する。私が冒頭で述べた「いじめ」とは、だれに対するいじめなのか。自然環境に生息する在来の生物に対するいじめ、放流された生物に対するいじめ、アクアリスト、すべてに対してのいじめといえる。

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