もう当分入手できそうにない、しかし飼育してみたい魚というのが存在する。私の場合はこの魚である。
ダテハゼ属の未同定種。
ダテハゼの仲間はフィリピンやインドネシアから色々来るが、ほとんどがクビアカハゼ、ニチリンダテハゼ、ヤマブキハゼ、ヤノダテハゼ、メタリックシュリンプゴビーであり、それ以外のダテハゼ属魚類はめったに来ない。フィリピンにもダテハゼ属は20種近くいるのだが。
この未同定種は頭部の眼の下に褐色の帯があること、頭部にはメタリックブルーの斑点があること、背中に黒い斑点があること、腹部に黄色の線が入ることからAmblyeleotris arcupinnaという種ではないかと思われるが、背鰭の色彩が異なるようだ。この種はフィリピン、インドネシア、パプアニューギニアの水深25m以浅に生息している種で、日本では書籍「決定版 日本のハゼ」に掲載されているように西表島に生息していることが知られているが標本はなく、まだ標準和名はついていない。
観賞魚として入手することは難しく、フィリピンやインドネシアなどからほかの共生ハゼの混じりとして来ることしか期待できない。この個体は残念ながら事故で死なせてしまい、あまりにも飼育経験は短くなってしまったが、丈夫で餌もよく食べ飼育には苦労はしないだろう。ほかのこの属の魚と同様にテッポウエビと共生するが、飼育下ではエビは必ずしも必要としないようである。ほかのダテハゼ属にもいえることだが、飛び出しには十分に注意しないと、いつか必ず干物に巡り合うことになってしまう。