魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

キュウセンフエダイ

2016年08月08日 21時42分29秒 | 魚紹介

このフエダイはもう8年も前に釣ったもの。スズキ目・フエダイ科・フエダイ属のキュウセンフエダイLutjanus rufolineatusという種類だ。フエダイ属の魚は日本に25種が知られ、このほかに水中写真によってのみ知られているものもいる。日本では関東地方や中部地方以西の太平洋・日本海・東シナ海に生息するが、多くの種は亜熱帯のサンゴ礁域に生息している。

キュウセンフエダイは千葉でも幼魚は知られているが、普通は和歌山県以南の暖かい海域に生息し、もちろん琉球列島のサンゴ礁域にも生息している。成魚は岩礁やサンゴ礁域に生息しているが、幼魚は河川の汽水域にも出現する。この個体も高知県の河川汽水域で採集したものだ。数匹で行動するらしく、何匹か釣ることができた。

キュウセンフエダイの小型個体

キュウセンフエダイの特徴は体に9本の黄色の縦縞があるところ。これが名前の由来だろう。このほかの特徴として特に幼魚期に背中に薄くあまり明瞭でない黒色斑が出ることがある。このとき釣った個体にもこの黒色斑が見られた。またそれは出したり消えたりできるらしい。尾鰭は一様に黄色っぽいが、後縁が薄い暗色であることが多い(生きているときや水中写真だとわかりにくいかも)。また前鰓蓋骨に深い欠刻があるのも特徴。

スパニッシュフラッグスナッパー

同じ体に9本ほどの縦縞模様を持つ種にはスパニッシュフラッグスナッパーLutjanus carponotusというのがいる。この種は西太平洋とアンダマン海に生息するが、日本には生息していない。スパニッシュフラッグスナッパーの体側にある黄色縦縞模様はキュウセンフエダイに比べると太く、大きいものは茶色っぽくなるようだ。また顔つきもキュウセンフエダイよりとがっている印象をうけ、写真を見た感じでは小型個体の前鰓蓋骨後縁の欠刻も目立たない。

スパニッシュフラッグスナッパーでは形質的にも背鰭棘数が10棘14~16軟条であり、同11棘13~14軟条のキュウセンフエダイと異なる。上はキュウセンフエダイの背鰭棘。キュウセンフエダイの背鰭棘はふつう11棘。

もう1種、本種に似ているものにLutjanus bouttonというのが知られている。「魚類検索」の分類学的付記によれば、以前はLutjanus rufolineatusはLutjanus bouttonの異名とされていたが、その後両種は其々別種とされているようだ。Lutjanus bouttonは体側の背部に不明瞭な黒色点があるが、キュウセンフエダイのような目立つ黄色線がないよう。

フエダイの仲間は基本的に食用魚としての価値が高いのだが、バラフエダイやイッテンフエダイなどのように大きいものはシガテラ毒をもつことがあるため食用にする際には注意が必要。キュウセンフエダイは大きいものは食用となり美味とされているが、この個体は小型であり、食用にはしなかった。

 

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