2021/5/11放送送
世の光の時間です。いかがお過ごしですか? 板倉邦雄です。今日は「弁護人テルティロ」という題でお話ししましょう。
いよいよローマの総督フェリクスのもとでのパウロの裁判が始まります。使徒の働き24章に入りましょう。
さて、ユダヤ最高議会の議長であり当時の最高宗教指導者・大祭司アナニアは議会の長老数名とテルティロという弁護人を連れてカイサリアに下り総督官邸を訪れ、パウロを訴え出たのです。
「フェリックス閣下。私たちが、閣下のおかげで十分に平和を楽しみ、またこの国が御配慮によってあらゆる方面で改善されていることは私たちの感謝してやまないところであります。しかしご迷惑をかけないように、くどくどと述べずに手短かに申し上げますが、どうか忍んでお聞き取りのほど、お願いいたします。
この男は疫病のような人間で、世界中のすべてのユダヤ人の中に騒ぎを起こしている者です。またナザレ人イエスの異端の教えの頭領であります。この男が神殿までも汚そうとしていたので、私たちはこの男を捕縛したのです。そして私たちの律法に従ってさばこうとしていたところ、千人隊長が干渉してきてこの男を無理に私たちの手から引き離してしまいました。
そしてこの男を訴えた人たちには、閣下のところに来るようにと命じたのです。それで、閣下ご自身でお調べになれば、私たちがこの男を訴え出た理由が全部おわかりになるでしょう。」
弁護人テルティロの論告を聞きました。裁判長・総督フェリクスに対する慇懃(いんぎん)無礼な口上です。心にもないお世辞をくどくどと言っています。さらに被告人パウロに対する疫病神みたいな訴えです。
第一に、パウロはすべてのユダヤ人の中に騒ぎを起こしてはいません。第二に、ナザレ人イエスの教えの頭領でもありません。第三に、神殿を汚す行為もしてはいませんでした。さらに加えるならば、千人隊長はローマ市民であるパウロをローマ法に従って正当に扱いました。この世では、まことに残念なことでありますが悪人を善人とし、また善人を悪人と論告する弁護人もいるのですね。
明日に続きます。
(PBA制作「世の光」2021.5.11放送でのお話より )
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