ふうるふうる・たらのあんなことこんなこと

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性差別と暴力との結びつきを

2010-03-15 15:25:07 | 本や言葉の紹介
武蔵浦和“ふうるふうる”のたらです。
         (↑これをクリックするとホームページに行きます)

 前回は『「ジェンダー論」の教えかたガイド  女子大生のための性教育とエンパワーメント』(沼崎一郎 フェミックス)をご紹介しました。
 その流れで今回は「性差別と暴力 続・性の法律学」(角田由紀子 有斐閣選書)を。

 著者である角田さんは弁護士で、性暴力や女性の権利に関する事件を多く手がけているそうです。1992年にはドメスティック・バイオレンス調査研究会を設立して日本で初めて夫(恋人)からの暴力の実態調査を行っています。

 この本では、法律の分野に的を絞って性差別と暴力との結びつきを解き明かしています。
 章立ては次の通り。

1 性的マイノリティの権利
2 結婚制度とドメスティック・バイオレンス
3 セクシュアル・ハラスメント―10年の軌跡
4 買売春を考える
5 ポルノグラフィと女性の人権
6 性暴力の根絶をめざして

 わかりやすい文章と裁判例や具体例のおかげで、社会的な女性の地位の変化などの全体的な流れがつかみやすい! 「そうだよねと」、「そうだったのか」があっちこちにあります。少し紹介させてください。

●「なぜ、人々がもっとも親密で心安らぐ場所と思い込んでいた結婚の関係が、女性が命の危険を感じる場になっているのだろうか。もし、男性が職場で上司や同僚から、二十人に一人の割合で「命の危険を感じるくらいの暴行」を体験しているとすれば、それは暴力職場ではないか、人権問題だ、と大騒ぎになることは間違いない。ところが、同じことが夫やパートナーとの間で起きているという客観性のある政府調査に対して、そのような驚きの反応は、新聞やテレビをみる限りではなかったようだ。これはいったい、どうしたことだろうか。「まあ、そんなものか」と受けとめられたのか、もともと、女性の人権には無関心なのか。」

●「人にどなられる経験は、惨めなものだ。自分を侮辱した相手の日常生活の世話をしなければならないことは、その惨めさをいっそう救いがたいものにしてしまう。
 私が出会った多くの妻たちは、泣きながらそのみじめさと悲しみをはき出した。一方の夫は、法定で平気で、「妻を愛している、帰ってきてほしい」などと言い張って、はばからない。
 愛という言葉は、暴力の免罪符ではありえないはずだ。しかし、子どもへの「愛のむち」に見られるように、相手のためだという言い訳をすれば、暴力が愛という衣を簡単にまとって、大手を振って世の中を歩くことができる。愛しているからこそ、妻の振る舞いを見過ごせなく、妻のためだと思って暴力をふるったという弁解も聞く。「愛のむち」夫婦版である。この「説明」は若い男性にも見られるから、女性に対する支配意識が、「伝承」されていることを思い知らされる。
 暴力は、いかなる情況と事情があっても、暴力であり、ふるわれた相手の人格を傷つけるという単純な事実を、男性が理解する必要がある。人が人を支配する、しかも直接の力でそれを行うことは、支配される側の人間には、人格無視以外の何物でもない。人間扱いされないことである。」

●「女性が働いても一人前の収入を得られないのは、女性が労働者として劣っているわけではない。女性を自立できない存在としておくことで、利益を得ている人々が、女性をそのような位置に押しとどめて置こうとしてきただけだ。女性が自分の足で立てないことで、依存的な存在にしておくことで、男性はあらゆる力を独り占めしてきた。人を支配することは、支配者には快適なことだから、この体制は維持されてきた。
 女性をあらゆる暴力を使ってでも支配される立場に押しとどめて置こうとする企みは、残念ながら成功してきた。」

●「男性の中には、このごろはどこもかしこも「セクハラ、セクハラ」とうるさいと思っている人がいる。そのように感じる人は、今までは許されていたのに、なぜ?という素朴な思いがあるのかもしれない。なぜ、今までは許されたことになっていたのか。「既得権」を失うと感じるとすれば、その「既得権」はどういうわけで与えられていたのかを考えてほしい。本来は手にしてはいけなかったものを、不当に手に入れていたこと、今それを返していただく時代がきたのだ。そのことを理解することで、職場の新しい人間関係が築き直される。それは女性が何か特別のものを手に入れることではなく、より人間の尊厳が大切にされる職場に作り変えていくことである。そのような職場では、男性も過労死やリストラ解雇やいじめなどの不当な扱いから解放されるはずである。」

●「かつて女性は夫や父親の所有物であった。結婚は父から夫への「娘」の贈与ないしは交換であった。
 女性が結婚して姓を変えるのは、動産である牛の持ち主が変わると額に新しい持ち主の名前が焼き印で入れられるのと起源は同じである。
 強姦は父や夫の所有物である娘や妻を、被所有者が性的に使用することである。そこで、強姦罪は、所有権を侵害する犯罪(財産犯)と考えられていた。
 強姦罪は、歴史的には男性の所有権を侵害した男性を処罰するものとして生まれた。被害者女性が法的保護の対象とされる余地はそもそもなかった。」

 うーん……。


 さて、以下は、今のところ手元に溜まっている本です。
「家、家にあらず」(松井今朝子 集英社文庫)
「今朝子の晩ご飯 環境チェンジ!篇」(松井今朝子 ポプラ文庫)
「東州しゃらくさし」(松井今朝子 PHP研究所)
「ヤッさん」(原宏一 双葉社)
「中国工場製造部長奮闘記」(曹健/遠藤健治 日経BP社)
「ろんだいえん」(三遊亭円状 彩流社)
「御乱心」(三遊亭円状 主婦の友社)
「名古屋人の真実」(三遊亭円状 朝日新聞社)
「虐待という迷宮」(信田さよ子/シャナ・キャンベル/上岡陽江 春秋社)
「買春と売春と性の教育」(鈴木水南子/村瀬幸浩/角田由紀子/草野いづみ 十月舎)
「戸籍って何だ」(佐藤文明 緑風出版)
「快楽の技術」(斎藤綾子/伏見憲明 学陽書房)
「性差別と暴力」(角田由紀子 有斐閣)
「車イスからの宣戦布告」(安積遊歩 太郎次郎社)

 ああ、次から次へと本が本を呼んでいくのよ。嬉し楽しチョット苦し。
 うふ、やっぱりシ・ア・ワ・セ


本ばっかり読んでんじゃないとあれほど言ったでしょ。
ねーちゃん、僕の目をしっかり見るんだわん。
さあ、仕事したくなーる、仕事したくなーる、仕事したくなーる、仕事したくなーる……


むだ!
おばかな二人とはつきあいきれにゃい。