花の四日市スワマエ商店街

表参道スワマエ商店街会長のひとり愚痴

重松清「その日のまえに」

2005年10月24日 | おいらの商店街
男が泣く本という特集が週刊文春にあった。重松清さんの「その日のまえに」文芸春秋刊。ここに商店街が出てくる。
庫本になるまで買わずに待とうと思っていたが、思い切って買ってしまった。一晩に、ひとおつずつ読んでは、枕もとのティッシュを、くちゃくちゃにしている。いびきをかいているおかぁんに見つかったら、こいつバカかと思うだろう。
の日のまえに」は身近な人の死をテーマにした連作だ。友達の死、奥さんの死、そして自分の死。縁起でもないと思うかもしれないが、死をめぐる人の心の優しさが爽やかに描かれている。
店街が出てくるのは3つ目の「潮騒」。百恵ちゃんが裸になった三島由紀夫の「潮騒」ではない。がんの告知を受けた俊治は、小学校のとき2年ほどいた海辺の町を訪れる。このとき、友人が海で死ぬという出来事があった。死期が近づいた俊治は、その思い出に吸い寄せられるようにして来たのだった。
を降りると商店街があり、そこを抜けると小さな海水浴場があった。今は、マンションが並ぶ海岸に変わってしまっている。商店街には石田という友人がドラッグストアの店長として働いていた。石田と俊治は海岸に赴き、過去に起こった友人の死を回想する。
の寄せる音。砂浜に上がった波が引いていく音。波の後には、砂にしみこんでいく水の音が残る。石田は戸惑いながらも、優しく俊治を励ます。
治がいた昔、この商店街ではアーケードが作られて完成記念のイベントが行なわれた。今は空き店舗の目立つ寂れた商店街だ。アーケードのおかげで暗く埃っぽく感じると書いてある。
ーケードで思い出したが、十数年前、全国的にオープンモールが良いと騒がれたときがあった。天気のよい日は日があたり、雨の日は雨が降る開放的な通りがよいといわれた。
日の視察旅行で、京都の新京極商店街と産寧坂を見た。新京極には立派なアーケードがあり、ショッピングモールとして、都会の商店街にはアーケードが似合う。一方産寧坂には絶対に似合わない。アーケードがあっては、石畳を抜ける風を感じることが出来ないだろう。
方、四日市はどうだろうか。中途半端か。アーケードも老朽化が目立つ。再び活気ずく街に再構築されていく過程で、どちらの雰囲気を大切にしていくかの選択肢が迫られるだろう。
は、オイラのエラそうで無責任な発言でした。
コメント
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