キンモクセイの香りで思い出す。オイラが浪人をしていた1年間を東京の白道寮で過ごした。寺が併設している寮だ。武蔵野台地の傾斜を利用した寺で、山の上に本堂、下には住職の住まいと境内をはさんで寮が建っていた。
小池さんは静岡の人。一番の友達だった。えらが張って頬がこけ、無精髭だらけで丸渕のメガネをかけていた。つまりおっさんみたいな顔だった。それでもオイラより1つ年上なだけだった。それでも高校生だった。
小池さんは、病弱だったため充分高校に通えず、今になって通学しているということだった。しかし、なぜ静岡の高校ではなかったのか、病気がちな感じもしなかったし、なんとなく小池さんには謎がつきまとっていた。
夏休みのある日、みんなで酒を飲みに行こうということになった。3軒はしごをした。2軒とも、小池さんは店のお姉さんと親しく話をしていた。常連だったのだろうか。最後の屋台で、小池さんは労務者風の人と腕相撲をして簡単に負けた。そしてこう叫んでいた「われわれは、戦争を知らないんですぅ!」
ぐてんぐてんになって夜遅くに寮へ帰った。階段をあがった窓から小池さんは気分が悪いといって嘔吐した。オイラも右へならえした。翌朝、先輩から「小池、ちゃんと掃除しとけよ」と言われていた。誰も見ていなかったはずなのに、誰かが密告したのか。その日の午後、全員が近くのプールへ行って、ようやく酔いがさめた。
ストリップショーに行こうと小池さんに誘われたことがある。ここから中央線で30分ほど西にあるという。そこには小池さんの友達が待っていた。3人でお酒を飲み、友達はそこで別れた。初めて見るショーは、お酒の勢いで他の客と騒いでいただけで、期待したほどの感動はなかった。日頃、想像していたほうがずっと刺激的だった。
ある夜、散々酔った小池さんがオイラの部屋に飛び込んできた。オイラはふざけ半分で湯飲みの底に残っていた水を、小池さんのお尻の穴めがけてかけた。小池さんは真剣に震え上がり、熱を出して数日寝込んでしまった。東京にいるお姉さんが心配して覗きに来ていた。この寮に親族が来ることは大変珍しいことだ。お姉さんは結構きれいな人だった。寮には、1年間いただけで、静岡へ返されていった。
高校生の小池さんは、オイラの一番の友達だった。そして謎の多い人でもあった。
小池さんは静岡の人。一番の友達だった。えらが張って頬がこけ、無精髭だらけで丸渕のメガネをかけていた。つまりおっさんみたいな顔だった。それでもオイラより1つ年上なだけだった。それでも高校生だった。
小池さんは、病弱だったため充分高校に通えず、今になって通学しているということだった。しかし、なぜ静岡の高校ではなかったのか、病気がちな感じもしなかったし、なんとなく小池さんには謎がつきまとっていた。
夏休みのある日、みんなで酒を飲みに行こうということになった。3軒はしごをした。2軒とも、小池さんは店のお姉さんと親しく話をしていた。常連だったのだろうか。最後の屋台で、小池さんは労務者風の人と腕相撲をして簡単に負けた。そしてこう叫んでいた「われわれは、戦争を知らないんですぅ!」
ぐてんぐてんになって夜遅くに寮へ帰った。階段をあがった窓から小池さんは気分が悪いといって嘔吐した。オイラも右へならえした。翌朝、先輩から「小池、ちゃんと掃除しとけよ」と言われていた。誰も見ていなかったはずなのに、誰かが密告したのか。その日の午後、全員が近くのプールへ行って、ようやく酔いがさめた。
ストリップショーに行こうと小池さんに誘われたことがある。ここから中央線で30分ほど西にあるという。そこには小池さんの友達が待っていた。3人でお酒を飲み、友達はそこで別れた。初めて見るショーは、お酒の勢いで他の客と騒いでいただけで、期待したほどの感動はなかった。日頃、想像していたほうがずっと刺激的だった。
ある夜、散々酔った小池さんがオイラの部屋に飛び込んできた。オイラはふざけ半分で湯飲みの底に残っていた水を、小池さんのお尻の穴めがけてかけた。小池さんは真剣に震え上がり、熱を出して数日寝込んでしまった。東京にいるお姉さんが心配して覗きに来ていた。この寮に親族が来ることは大変珍しいことだ。お姉さんは結構きれいな人だった。寮には、1年間いただけで、静岡へ返されていった。
高校生の小池さんは、オイラの一番の友達だった。そして謎の多い人でもあった。