商工会議所100年史より“民衆駅構想”
近畿日本鉄道が、短絡化による駅舎建設に取り掛かったのは、昭和30年11月のことでした。この駅舎分離の影響で、国鉄四日市駅と周辺商店街利用者の激減が予測され、これに対抗しうる策として、魅力ある駅舎づくりが必要と考えられ、国鉄側から『民衆駅構想』が提案され、商工会議所も賛同した経過がありました。
国鉄四日市駅移転新築に関する件
(略)さて先般国鉄四日市駅舎の移転新築に関し諮問書及び民衆駅の構想計画を賜りましたので早速商業部会はじめ各部会を開催審議の結果、次の通り結論を得ましたので此段答申致します。
民衆駅の早期実現が四日市市の発展にとって不可欠なものと思考せられますので、四日市商工会議所はその実現に挙げて全力で協力致します。
その際当面的な問題としてディーゼルカー等の増配、最終的には国鉄電化予定計画の繰り上げによる関西線及び参宮線の運転回数の増加によって、四日市駅の乗降客の増大を図るよう国鉄当局に要請し、その早期実現を重要条件として民衆駅の建設達成に進みたいところであります。なお、付帯条件として次の条項を要望致します。
1.駅舎の民衆部分の利用については地元商業者を優先的に取り扱うこと
2.国鉄関係の各種事務所等はこの建物内に集約的に収容すること
3.本問題可決の為に市・市議会・商工会議所等を以って 建設促進委員会(仮称)を組織し、相当の緊密な連絡の上実現に努力すること
昭和31年7月21日(会頭名、市長宛)
しかし、具体的な審議に入ると資金面の問題で断念することになり、国鉄に全権を委ねざるを得なくなった。国鉄四日市駅舎の新築については規模、内容等を国鉄当局にお願いすること 云々・・・
樹林舎刊 四日市の今昔より
昭和31年9月に諏訪駅は廃止され、近鉄四日市駅が完成している。国鉄単独の事業になってしまったのか?昭和35年4月に国鉄四日市駅新駅舎が完成した。三重交通、三岐鉄道バスの切符売り場の他、2階にはレストランも設けられていた。近年、JR(旧国鉄)四日市駅を高架にして街を港までつなぐ計画もあったが、やはりJR側の賛同を得ることが出来ず、頓挫している。