人生チャレンジ20000km~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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核のない未来を願って 松井英介遺稿・追悼集(緑風出版)

●安全問題研究会が、JRグループ再国有化をめざし日本鉄道公団法案を決定!

●安全問題研究会政策ビラ・パンフレット
こんなにおかしい!ニッポンの鉄道政策
私たちは根室線をなくしてはならないと考えます
国は今こそ貨物列車迂回対策を!

【管理人よりお知らせ】JR北海道の路線廃止問題に関し、地方交付税制度の拡充を求める要請書を総務省宛に提出しました

2017-11-16 21:31:51 | 鉄道・公共交通/交通政策
管理人よりお知らせです。

安全問題研究会は、11月14日付で、以下の要請書を総務大臣、及び総務省自治財政局長充てに提出しましたので、全文をご紹介します。印刷に適したPDF版をご希望の方は、安全問題研究会サイト内の「安全問題研究会が行った政府への要請・申し入れ」ページにあります。

なお、安全問題研究会は、これまで国交省鉄道局宛てに要請を行ってきましたが、今回から要請先を鉄道局以外に変更することにしました。2015年7月の要請の際、鉄道局が省内での面会を拒否した上、屋外で要請書だけ受け取ると国交省の建物に逃げ帰るという失礼極まりない対応を取ったからです。国交省は当事者能力を失っており、このような三流官庁に要請を行っても解決につながる可能性は低いと判断しました。今後も、鉄道局以外への要請を続けていきます。

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2017年11月14日

総務大臣 野田 聖子 殿
総務省自治財政局長 黒田 武一郎 殿

                          安全問題研究会


JR北海道の路線廃止問題に関し、地方交付税制度の拡充を求める要請書

 北海道旅客鉄道株式会社(JR北海道)は、昨年11月、路線距離で全道の路線の約半分に当たる10路線13区間を「自社単独では維持困難」であるとして、廃止~バス転換または沿線市町村が線路を保有する上下分離方式による運営に切り替えたいと提案してきました。

 しかし、経済活動の中心である首都圏等から離れ、大企業も少ないなどの条件に加え、除雪費など他地域にはない負担も抱えている北海道は財政運営が苦しい状況にあります。北海道内市町村も同様であり、危機的な財政状況の中で新たに巨額の財政負担を長期継続的に強いる上下分離方式の提案を、事実上鉄道路線の廃止の提案に等しいと受け止めています。JR北海道による提案から1年以上経過しているにもかかわらず、沿線市町村との協議はほとんど進んでいません。

 こうした事態を招いている要因のひとつに地方交付税制度の不備があります。地方公共団体が道路・港湾・空港の整備や維持管理を行う場合には地方交付税が交付される一方、地方公共団体が鉄道線路を保有し整備や維持管理を行っても地方交付税が交付される制度になっていないためです。

 当会は、各鉄道の安全や地域公共交通の存続及び利便性向上のための活動を行う鉄道ファンの任意団体ですが、北海道に拠点を置いて活動していることから、北海道内の鉄道路線の行方に重大な関心と懸念を抱いています。重要な社会資本であり公共交通ネットワークを形成する鉄道の廃止は、地域社会に重大な影響を与えます。また、今後、全国的な人口減少社会を迎える中で、現在の北海道が抱える問題は、いずれ全国に拡大するものと予想されます。

 貴職におかれましては、このような切実な事情及び本要請の趣旨をご理解いただくとともに、本要請書に対して、文書による回答を行われるよう希望いたします。



【要請事項】
 JR北海道が検討している鉄道路線の廃止~バス転換を行わせないようにするとともに、地域の健全な発展の基盤を維持するため、国鉄改革時の国会決議等をも踏まえ、鉄道線路を保有する地方公共団体にも地方交付税が交付されるよう所要の手続(法改正等)を行うこと。

【説明】
 JR北海道が昨年11月、鉄道路線の廃止~バス転換または沿線市町村が線路を保有する上下分離方式による運営に切り替えたいと提案した路線(10路線13区間)の合計は1,137.2kmであり、JR北海道の鉄道全路線(2,499.8km)のほぼ半分に及んでいる。

 国鉄改革関連8法案が審議されていた参議院日本国有鉄道改革に関する特別委員会が、1986(昭和61)年11月28日、同法案の可決・成立に当たって行った附帯決議は、「(JR各社の)経営の安定と活性化に努めることにより、収支の改善を図り、地域鉄道網を健全に保全し、利用者サービスの向上、運賃及び料金の適正な水準維持に努めるとともに、輸送の安全確保のため万全を期すること」「各旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社の輸送の安全の確保及び災害の防止のための施設の整備・維持、水害・雪害等による災害復旧に必要な資金の確保について特別の配慮を行うこと」を国に対して求めている。この附帯決議の採択に当たり、国鉄改革関連8法案の担当である橋本龍太郎運輸大臣及び葉梨信行自治大臣(いずれも当時)が「その御趣旨を尊重」し、政府として努力・善処する旨答弁している。

 国鉄再建監理委員会における当時の議論やこうした歴史的経緯を踏まえ、経営が厳しくなると予想されたJR北海道・四国・九州の3社は国が設けた経営安定基金の運用益で持続的な経営を維持することとされたが、当初、7.3%と見込んだ金利が低下したため、期待通りの運用益が得られず、今日の事態を招くことになった。

 一方、国鉄改革当時に新幹線保有のための制度として設けられた上下分離方式が、近年、地方路線を維持するために有効であることが認識されたため、地方路線でこの方式を導入する例が徐々に増えている。しかし、現行の地方交付税法では道路・空港・港湾と異なり、鉄道は地方公共団体による線路管理であっても地方交付税の交付対象とならないことから、鉄道に上下分離方式を導入した地方公共団体は全面的かつ長期的にその費用を負担しなければならず、このことが上下分離方式の全国的かつ大規模な拡大を妨げる要因となっている。このような制度の不備が原因で維持が可能な地方の鉄道路線が失われ、重要な社会資本である公共交通ネットワークが崩壊すれば、地域発展や産業・経済活動のための基盤が喪失し、国力も減退することが確実である。

 国鉄改革から30年を経過し、当初は新幹線への導入しか想定されていなかった上下分離方式による地方路線の運営の例が生まれるなど、この間、社会情勢は大きく変化している。こうした変化を踏まえ、鉄道線路を保有する地方公共団体も道路・空港・港湾の管理を行う地方公共団体と同様に地方交付税の交付対象とするよう法制度を再整備する必要がある。

<添付資料>
1.当社単独では維持することが困難な線区について(2016.11.18 JR北海道)
2.国会議事録(第107国会 参議院日本国有鉄道改革に関する特別委員会、昭和61(1986)年11月28日)

(※)上下分離方式とは「運行事業者とインフラの整備主体が原則として別人格であって、インフラの整備に公的主体が関与する場合」をいうものとされている(2000年8月1日付け運輸政策審議会答申第19号「中長期的な鉄道整備の基本方針及び鉄道整備の円滑化方策について」)。

(以  上)

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