安全問題研究会~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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キヤノンが逆転勝訴 リサイクル品差し止め

2006-01-31 23:50:59 | IT・PC・インターネット
キヤノンが逆転勝訴 リサイクル品差し止め (共同通信) - goo ニュース

…だそうで。
私は、はっきり言ってこの知財高裁判決、疑問である。というより訴訟に持ち込んだキヤノンへの疑問と言った方が正確かもしれない。

確かに、知財高裁の判決が言うように、インクは中身が入れ替えられてしまうと完全な別物と言ってよいから、いわゆる模倣品に準じて正当な著作権を持つ者が模倣品の販売を差し止めることができる、という理屈自体はわかる。
私が疑問を持ったのは、そういう理屈レベルの話ではなくてもっと別次元のところ。
すなわち、今のプリンタ業界の商売のやり方が間違っているからこんな訴訟が起こるんじゃないの? と言うところでの疑問だ。

キヤノンが今回、リサイクルインク販売業者に対し、訴訟という強硬手段に打って出たのは、これまでの日本のプリンタ業界が本体を安売りする一方、その薄利(または損)を高価な純正インクをジャンジャン売ることで取り返してきたからだろう。
リサイクルインク業者の登場は、こうした「本体大安売り→インクの消耗を早くし、高価な純正インクを高頻度で補充させることによって本体大安売りの損を回収」というビジネスモデルを崩壊の危機に陥れるからである。

これを他の分野と比較してみると、例えばPC周辺機器の場合、外付けDVD-RドライブとかHDDなんて物はサードパーティ製を使うのが当たり前で、わざわざ価格の高い純正品を使うのは、純正品でなければ実現できないような特殊な目的があるときに限られる(OSのリカバリー用など)。
アイ・オー・データ機器やバッファロー(旧メルコ)のように、サードパーティとして純正品に代わる安価な周辺機器を提供することに特化したメーカーまであるくらいだ。しかし、これらのメーカーが「純正品の特許を侵害している」としてPCメーカーに訴えられた、などという話は聞かない。PCメーカ側も、PC本体や他の家電で食べているのであって、別に周辺機器で食べているわけではないから痛くないということなのだろう。

そのように考えると、プリンタ業界のビジネスモデルの方がおかしいということに気付くはずである。
私は以前、NECのプリンタを使っていたことがあるが、NECのインクの大部分はヘッド付きで、インクを替えるときにヘッドごと交換しなければならないため、インク1個が3,000~4,000円もした。
プリンタ本体が安い物で10,000円を切っている現在、1個3,000円~4,000円もするインクを黒とカラー同時に交換した場合、プリンタ本体を新しく買う方が安くなる可能性さえあるわけで、どう考えてもこれを疑問に思わない方がおかしい。
むしろ、上述した周辺機器等と比べれば、インクなど消耗品の最たる物だから安ければなんだっていいや、というのが利用者側の一般的感覚だろう。

経済学の常識からいえば、備品として反復的に使える物は高く、消耗品として使えば減っていく物は安い価格設定になるのが当たり前である。その意味で、今回の訴訟はプリンタ業界が市場原理を無視したビジネスモデルで商売をして来たために起きたといえるのだ。
知財高裁は知的所有権を審理する場所だから、こうした企業のビジネスモデルにまで口を出せば権限逸脱になるだろう。しかし、今回の判決が経済の常識に反する商売をした企業を保護する一方、市場原理に従って安い物を提供し、しかもリサイクルを通じて環境保護にも貢献してきた企業を市場から排除することになるのでは、いったいなんのための裁判所なのだ、と思わざるを得ないのである。

そういうわけで、逆転敗訴したリサイクル・アシスト社は最高裁に上告すべきだと私は考える。

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