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サンプリングしたり、されたりの1980年代後半を象徴するクラシック音楽

2012-12-24 21:02:00 | 音盤ノート
Steve Reich "Different Trains / Electric Counterpoint" Elektra Nonesuch, 1989.

  現代音楽。一応ミニマル・ミュージックということになるが、初期のそれのように反復する音型の微細な変化を楽しむものではなく、二曲ともちゃんと三楽章構成に分かれた、展開のある音楽となっている。

 ‘Different Trains’は、弦楽四重奏をテープで二重に重ね、人の声や汽笛などのサンプリング音を配した曲である。演奏はクロノス・カルテット。1940年代前半の、ライヒ自身の汽車による米国横断の思い出と、同時期のヨーロッパにおいてユダヤ人が詰め込まれた収容所行きの列車を重ね合わせるという、ドキュメント性の強い作品である。当時の生存者のインタビュー録音から特定のセリフをサンプリングし、それに伴奏をつけるという方法で作曲されている。登場するセリフに合わせてテンポと反復パターンがめまぐるしく変化し、同時に悲劇的な調子も湛えている。1980年代のライヒの代表作である。

 ‘Electric Counterpoint’は、エレクトリック・ギター10台とベース2台による演奏を事前に録音しておいて、それをバックにもう一台のギターが演奏とするというもの。演奏はパット・メセニーで、タッチがマイルドであるため親しみやすく美しい曲になっている。この曲をサンプリングして使ったThe Orbの‘Little Fluffy Clouds’というテクノの曲があったけれども、今では忘れ去られてしまったかな。


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<<追記>>--- Little Fluffy Cloudsをめぐるインタビュー記事(洋雑誌の邦訳のようだが出典不明)を発見。以下引用。

Q: Steve Reichのトラックへの反応はどうでしたか?お金を要求されましたか?
Alex:Steve Reichが「Little Fluffy Clouds」を初めて聴いた時のことを語っているビデオを見たよ。彼は熱心だった。誇りに思っているみたいだったよ!彼が私達の仕事に感銘を受けたと信じている。彼は2003年に20%を要求してきた。未払い分の支払いは無しで、彼好みのバージョンを(作るように?)リクエストされた。

松竹剛:テクノ名曲夜話:いま明かされるThe Orb「Little Fluffy Clouds」誕生秘話
http://www.spotlight-jp.com/matsutake/mt/archives/2012/01/little_fluffy_clouds.html
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