無人偵察機

 今日の新聞にノースロップ・グラマン社の無人偵察機グローバルホークが先月、九州南方の日本の防空識別圏内を約1時間にわたって飛行していたことを報ずる記事が出ていた。運行していたのは勿論アメリカ空軍であるが事前に飛行計画が提出されており、自衛隊機がスクランブル発進するようなことはなかったはずである。

 グローバルホークは高度2万メートルを完全自動操縦可能かつ無給油で35時間飛び続けることができる無人偵察機である。全長13mに対して主翼幅はボーイング737の28.9mを上回る35m、イルカの鼻先のよう機首とV字型の尾翼、背中に背負った1発のジェットエンジンなど、特徴的な形をしている。公表されている滞空時間は35時間とされているが。これが本当なら毎時500Kmで飛行したとするとその航続距離は17,500Kmともなり、今回の飛来がオーストラリアからというのもうなずける。

 アメリカ政府とノースロップ・グラマン社は1機57億円もするこのグローバルホークの日本への売込みを目論んでいるところであり、今回の防空識別圏内飛行はそのデモンストレーションであったと言っても良いだろうが、つまるところは日本が必要としているかどうかというよりは、日本に購入させることで、莫大な開発費用を日本に負担させようということなんだろうな。

 基本的に日本の識別圏内しか飛行できないということになるけれど、その意味では海上自衛隊では4発の大型固定翼哨戒機はP3Cを既に100機程も運用している。ならば、アメリカの力を借りずに偵察可能な人工衛星の開発・打ち上げに注力するのが良いように私には思えるが、結局は「政治的決着」がなされ購入に至るのだろう。つまりは、アメリカは自動車産業での借りを、航空機産業で返そうとしているという訳だな。
 
今日の1枚は、昨日ご覧頂いた枝垂梅のアップ。
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