10年に一人の逸材か?

 ニコ・ロズベルク。1982年、たった1度の優勝で、わずか44ポイントでF1チャンピョンのリストに名を残したケケ・ロズベルクの子。計らずも、父ケケがチャンピョンを獲得したのと同じウイリアムズ・コスワースのマシンを駆りデビューしたニコ。初戦でファステスト・ラップを記録し2戦目でセカンド・ローを奪い取ったF1界のサラブレッド、ニコ・ロズベルク。

 そのニコの周辺が俄かに騒がしくなってきた。弱小チームからデビューしても、すぐさまその才能の片鱗を見せつけビッグチームのドライバーに抜擢されたドライバーは勿論過去にもいる。例えばミヒャエル・シューマッハ。例えばキミ・ライッコネン。

 ご存知の通りミヒャエルは91年のベルギーGPにベルトラン・ガショーの代役としてジョーダン・フォードからデビューし(ホテルに泊まる資金がなくマネージャーと共にユースホステルに泊まったのは余りにも有名な話し)、予選で7位。決勝こそ0周リタイヤであった次のイタリアGPではジョーダンからベネトンへ電撃移籍し5位入賞。3年後にはベネトンでワールド・チャンピョンを獲得。

 2001年、スパーライセンスが発給されないのではないかと噂されながらも何とかザウバーからデビューを果たしたキミが2002年シーズンにはマクラーレンに移籍、翌2003年にはミヒャエルとタイトルを争ったことは記憶に新しい。

 毎年多くの新人が下位カテゴリーからF1に進級してくるが数戦で、あるいは翌シーズンにトップチームに移籍しチャンピョンシップを戦うという例は決して多いわけではなく、だからこそライッコネンが「シンデレラ・ボーイ」と呼ばれる所以なのである。

 そして2006年の超新星、ニコ・ロズベルクもまた「シンデレラ・ボーイ」への道を歩もうとしているようである。移籍先候補として真っ先に挙げられるのがマクラーレン。ライッコネンがフェラーリに移籍し空いたシートをニコで埋めようというものだ。常勝ミヒャエルを追い、打ち落としたアロンソも2007年にはチームメイトに追われる立場となるのか。

 競争の世界は常に追いつ追われつ、下克上の世界だ。そんな世界で最年少チャンピョンと騒がれたアロンソよりも更に若いニコがどこまで戦えるのか。2006年シーズンは始まったばかりであり2007年を語るには余りにもは早過ぎる。ケケの子としてではなく、GP2チャンピョンを獲得しF1に進級してきた一人のドライバーとしてのニコのドライビングを、その活躍を大きな期待を持って見守りたい郷秋<Gauche>である。

今日の一枚は、恩田の森の民家の庭先の桜草。
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