『ゴジラ対メカゴジラ』 福田純監督 ☆☆★
昭和ゴジラシリーズの最後から二番目の作品、『ゴジラ対メカゴジラ』をDVDで再見。もうすっかりお子様向けと化し、ゴジラの顔もぬいぐるみ並みに愛らしいが、それはそれと開き直って観ればそれなりに楽しめる。監督は福田純で、この人の映画の特徴はとにかく明るいこと。この映画も実に明朗で、そこに沖縄情緒とスパイ・スリラー風味と怪獣がミックスされて不思議なムード . . . 本文を読む
ローマに死す
象の墓場のことをいつ、誰から聞いたのかも憶えていないし、何十年間もすっかり忘れ去っていたのは確かだったが、その時マディソン街のドクターのオフィスでマルセルの頭に浮かんできたのはそのことだった。死期を悟った象は自分の死にざまを誰にも見せないよう、人目につかない場所にある「象の墓場」に向かうという。そのイメージが突風のように脳裏を駆け抜けて目をくらませたために、 . . . 本文を読む
『僕の村は戦場だった』 アンドレイ・タルコフスキー監督 ☆☆☆☆
タルコフスキー監督の長編デビュー作を日本版ブルーレイで鑑賞。モノクロ作品。
少年兵の短い生と死を描いたフィルムで、一種の反戦映画といっていいと思う。少年のみずみずしい心象風景と無残な現実の対比がキーになっていて、特にラスト、少年の死を私たちが知った後で映し出される浜辺で遊ぶ子供たちの映像は、無垢なセンチメントをたたえてい . . . 本文を読む
『去年を待ちながら』 フィリップ・K・ディック ☆☆☆☆
再読。これはディック作品の中でも傑作の部類だと思う。ディック特有の迷宮感、悪夢感が充満し、読者を絡めとる得体の知れないパワーに満ち満ちている。核心となるアイデアは例によってドラッグで、兵器として開発された致死的なドラッグを服用すると副作用で時間旅行してしまう、というとんでもないものだ。しかも主人公のスイートセント医師がこれを使って時 . . . 本文を読む