『Spilt Milk』 Jellyfish ☆☆☆★
ジェリーフィッシュのセカンド・アルバム。この人達はアルバム二枚しか残さなかったので、ラスト・アルバムということになる。
ファーストでもポップおたくっぷりを遺憾なく発揮していたジェリーフィッシュだが、このセカンドではその凝り性とひねくれぶりにますます磨きがかかっていて、この手の音楽に目がない人々にはたまらないシロモノとなっている。冒 . . . 本文を読む
『壬生義士伝』 滝田洋二郎監督 ☆☆☆★
以前小説のレビューを書いたが、今回は映画の方。再見である。小説を読み返してから観たので、違いが良くわかって面白かった。
まず映画版では吉村寛一郎と斉藤一の関係に絞って描いてあるが、これは正解だと思う。原作でもこの部分が一番面白い。というか、斉藤一というキャラクターが非常に魅力的だ(映画では原作よりドライさが薄れているが、もっと血も涙もない感じに . . . 本文を読む
『澁澤龍彦翻訳全集〈12〉』 渋澤龍彦・訳 ☆☆☆☆☆
非常に高価な本だが、涙をのんで購入した。収録されているマンディアルグ『大理石』とシュペルヴィエル『ひとさらい』が絶版になっていてどうしても手に入らないからだ。収録作品を以下に記載しておく。
『ひとさらい』ジュール・シュペルヴィエル
『大理石』アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ
『マゾヒストたち』ロラン・トポール
『パイプ』フラン . . . 本文を読む
『Asia』 Asia ☆☆
昔大ヒットしたエイジアのファースト。ジョン・ウェットン、スティーヴ・ハウ、ジェフ・ダウンズ、カール・パーマーとプログレ大御所バンドのメンバー達が結集してコンパクトでポップなロックをやり、大成功した。
しかし今聴いてみると、個人的にはどうもパッとしない。イエスやEL&Pのプログレ・アルバムよりもよっぽど古臭く思える。「三分間のプログレ」がキャッチコピーだった . . . 本文を読む
『フィッツジェラルドの午前三時』 ロジェ・グルニエ ☆☆☆★
村上春樹の『ザ・スコット・フィッツジェラルド・ブック』を読んだせいでこれをまた読みたくなり、再読した。
訳者があとがきで書いているように、これは「『評伝』というより、フィッツジェラルドの人と作品に触発された気軽なエッセー集というほうが妥当」である。時系列の伝記じゃなく、ぜルダやヘミングウェイ、キーツ、自殺の方法、二重性、作品 . . . 本文を読む