『美女と液体人間』 本多猪四郎監督 ☆☆☆★
『ガス人間第一号』のあのなんとも言えないムードが結構良かったので、こうなったら東宝の『変身人間シリーズ』三部作を全部観てみようと考え、『美女と液体人間』と『電送人間』のDVDを入手した。我ながら物好きである。
ということで、まずは『美女と液体人間』。これが三部作の一作目らしい。なんといっても、『美女と』がきいている。ナイスなB級感炸裂である。どことなくエロさを予感させる。パッケージを見ると、確かに美女がおびえている。モンスターものの基本だ。
『ガス人間第一号』が日本舞踊とガス人間というかなりトリッキーな組み合わせだったのに対し、この『美女と液体人間』ではより基本に忠実な感じで、ギャング+キャバレー+美人シンガー+液体人間、である。夜のシーンが多いこともあって、全体にノワールな雰囲気が溢れている。やはり一作目ということで基本フォーマットが呈示されている。だから街中のシーンなんて懐かしい感じの日本なのに、映画全体としてはどことなく無国籍な感じがする。昔のハリウッド製モンスター映画の雰囲気を目指したんだろう。セクシーなドレスを着てキャバレーで白川由美が歌うシーンなんてとても日本映画とは思えない。歌声が吹き替え丸出しなのが惜しいが、すごく大人っぽい歌声だし、何と言っても日本人離れしたスタイルの良さで、冗談抜きにハリウッド女優並みのオーラを放っている。さすが美女。
この白川由美という女優さんは他でも見た事があったが、わりといつも清楚な控えめな感じだったので、この『美女と液体人間』はかなりインパクトあった。おまけに終盤、ギャングの人質になって地下水路を歩き回るシーンでは、かなり長い間下着姿である。まあ今見れば可愛いもんだがキャバレーで半裸の踊り子が踊るシーンなどもあり、当時としてはかなりエロスを意識した作りになっている。モンスターとエロスは切り離せない。やはり基本フォーマットである。
肝心の液体人間だが、『ガス人間第一号』とは違い特定個人の名前や性格は持っていない。明らかに単なるモンスターだ。まあこれも基本フォーマットということだろう。もともとは人間だったのが放射線によって化けたという設定だが、あまりそこには踏み込まれず、だから『ガス人間第一号』のような「変身人間の悲哀」はない。あくまで美女に悲鳴をあげさせるためのモンスターである。しかし、白川由美がいるテレフォンブースの扉の下からじわじわと液体が忍び込んでくるシーンなんか結構スリリングだ。やはりこの、美女対モンスターというシチュエーションはB級映画的ながらも妙な魅力があるなあ。
ラストは炎を使った液体人間殲滅戦が行われる。紅蓮の炎が夜の街を包む中、「人類が絶滅した時、次に地球を支配するのは液体人間であるかも知れない」とナレーションが流れる。このノワールな映像はなかなか良い。ナレーションもパターンかも知れないがいい味を出している。この映画は基本フォーマットなのだから、これでいいと思う。
私見では『ガス人間第一号』より落ちるが、なかなか楽しめた。
『ガス人間第一号』のあのなんとも言えないムードが結構良かったので、こうなったら東宝の『変身人間シリーズ』三部作を全部観てみようと考え、『美女と液体人間』と『電送人間』のDVDを入手した。我ながら物好きである。
ということで、まずは『美女と液体人間』。これが三部作の一作目らしい。なんといっても、『美女と』がきいている。ナイスなB級感炸裂である。どことなくエロさを予感させる。パッケージを見ると、確かに美女がおびえている。モンスターものの基本だ。
『ガス人間第一号』が日本舞踊とガス人間というかなりトリッキーな組み合わせだったのに対し、この『美女と液体人間』ではより基本に忠実な感じで、ギャング+キャバレー+美人シンガー+液体人間、である。夜のシーンが多いこともあって、全体にノワールな雰囲気が溢れている。やはり一作目ということで基本フォーマットが呈示されている。だから街中のシーンなんて懐かしい感じの日本なのに、映画全体としてはどことなく無国籍な感じがする。昔のハリウッド製モンスター映画の雰囲気を目指したんだろう。セクシーなドレスを着てキャバレーで白川由美が歌うシーンなんてとても日本映画とは思えない。歌声が吹き替え丸出しなのが惜しいが、すごく大人っぽい歌声だし、何と言っても日本人離れしたスタイルの良さで、冗談抜きにハリウッド女優並みのオーラを放っている。さすが美女。
この白川由美という女優さんは他でも見た事があったが、わりといつも清楚な控えめな感じだったので、この『美女と液体人間』はかなりインパクトあった。おまけに終盤、ギャングの人質になって地下水路を歩き回るシーンでは、かなり長い間下着姿である。まあ今見れば可愛いもんだがキャバレーで半裸の踊り子が踊るシーンなどもあり、当時としてはかなりエロスを意識した作りになっている。モンスターとエロスは切り離せない。やはり基本フォーマットである。
肝心の液体人間だが、『ガス人間第一号』とは違い特定個人の名前や性格は持っていない。明らかに単なるモンスターだ。まあこれも基本フォーマットということだろう。もともとは人間だったのが放射線によって化けたという設定だが、あまりそこには踏み込まれず、だから『ガス人間第一号』のような「変身人間の悲哀」はない。あくまで美女に悲鳴をあげさせるためのモンスターである。しかし、白川由美がいるテレフォンブースの扉の下からじわじわと液体が忍び込んでくるシーンなんか結構スリリングだ。やはりこの、美女対モンスターというシチュエーションはB級映画的ながらも妙な魅力があるなあ。
ラストは炎を使った液体人間殲滅戦が行われる。紅蓮の炎が夜の街を包む中、「人類が絶滅した時、次に地球を支配するのは液体人間であるかも知れない」とナレーションが流れる。このノワールな映像はなかなか良い。ナレーションもパターンかも知れないがいい味を出している。この映画は基本フォーマットなのだから、これでいいと思う。
私見では『ガス人間第一号』より落ちるが、なかなか楽しめた。
この所、和製特撮映画、ドラマを頻繁に見ておりまして、勝手な私見を書き散らしておりまして。
この「美女と液体人間」にも、あれこれくだらない事を書いております。
こちらのブログ、初めてお邪魔しましたが、なかなかしっかりしたご感想で共感できました。失礼ながら「ガス人間第1号」も含め、私の記事をTBさせていただきましたので、お時間あるときにでもご笑覧いただければ幸いです。
突然で失礼致しました。
さっそく貴ブログ拝見しましたが、非常にマニアックかつディープな世界を追求されているようですね。感服致しました。『変身人間シリーズ』にしても、私などとは比較にならない緻密なレビューをされていて、非常に面白かったです。
この『変身人間シリーズ』、一度はまると病みつきになってしまうようなところがありますね。CGでは真似できない特撮の手作り感、ギャング映画ホラー映画モンスター映画恋愛映画をごった煮にしたようなキッチュさ、それから今となっては別世界としかいいようがない、当時の日本のノスタルジックな風景。なんか愉しいような物悲しいような甘酸っぱいような、こういう感覚をもたらしてくれる映画って、他にないような気がします。
貴ブログで他にも色々と紹介されていますので、参考にさせていただきます。