『サマータイムマシン・ブルース』 本広克行監督 ☆☆
『虹の女神 Rainbow Song』を観てファンになった上野樹里が出ていてタイム・パラドックスもの、かつクーラーのリモコンが世界崩壊の危機を招くという面白そうな設定に惹かれて観てみたが、ハズレだった。残念。
まず冒頭20分がその後のネタフリになっていて、全然面白くない。大学生(SF研の皆さん)が野球やったり銭湯入ったり、おれのシャンプー盗ったのは誰だなどと騒いだりするだけである。それから後になるとそれほどでもないがこの冒頭部分では妙に映像に凝っていて、意味ありげにスローモーションになったり場面切り替え時にテープを巻き返す音が入ったりする。この無意味なわざとらしさがうざい。
加えて、これは全篇そうなのだけれども、いちいち寒い小ギャグが入る。会話のたびに駄洒落を飛ばす人みたいで、これまた疲れる。こういうのを楽しめる人はいいんだろうけれども、私はこういうのが一番苦手なのである。またそれと歩調を合わせるように、脇役連中の演技が基本的にコント芝居。いやーつらい。冒頭20分で、最後まで観れるかどうか心配になった。
タイムマシンで過去に行ってからは世界崩壊の危機が訪れて面白くなるはずだと思って観続けたが、1時間を過ぎるまでそういうのは出てこない。ずっと同じ悪ふざけノリである。ようやく「下手するとすべてが消滅」という話になるが、ここでもがっかりなのは、クーラーのリモコンは別に関係ないということだ。リモコンだろうが何だろうが、ちょっとでも過去を変えると「消滅」という話なのである。
いやー大雑把だなあ。タイム・パラドックスものとしてわりと緻密だという噂だったのだが、全然大雑把だ。緻密に組み立ててあるのはタイム・パラドックスではなく、前日の「SF研の皆さん」①と、今日から前日へ戻った「SF研の皆さん」②のコント的な噛み合わせである。②の甲本君がみんなに見つかって適当にごまかし逃走、その後何も知らない①の甲本君が現れて「え?何?」となる、みたいな。
まあ、いいんですけど。これで辻褄が合うと、何か面白いの? いわゆる「伏線の回収」というヤツですか。最近、こういうの流行ってますね。
しかし結果的に、過去は色々と変えている。シャンプーも盗んでるし、カッパの神様の石像も出来ている。全部過去への干渉である。そもそもリモコンが壊れたのも、未来からの干渉の結果なのである。が、それらは「もともと起きていたこと」になっている。要するに、この映画においてはタイム・パラドックスは一切存在しない。パラレルワールドも存在しない。時間の流れは一つしかなく、起きたことは絶対に変わらない。過去に戻って何をしようが、すべては決定している。
というようなことは、おそらくこの映画の本題ではないのだろう。要するに、こういうSFっぽい設定でユルーいノリを楽しんで下さい、ということだと思う。そうと知ってたら観なかったな。
先に演技がコント的と書いたが、主演の瑛太、上野樹里、それから脇役で出ている真木よう子と佐々木蔵之介は、さすがにしっかりしている。監督の名前は私はなじみがないが、『踊る大捜査線』の監督らしい。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』もタイム・パラドックスは杜撰だけれど、これを観るとやはり構成や演出の巧さが分かるなあ。
『虹の女神 Rainbow Song』を観てファンになった上野樹里が出ていてタイム・パラドックスもの、かつクーラーのリモコンが世界崩壊の危機を招くという面白そうな設定に惹かれて観てみたが、ハズレだった。残念。
まず冒頭20分がその後のネタフリになっていて、全然面白くない。大学生(SF研の皆さん)が野球やったり銭湯入ったり、おれのシャンプー盗ったのは誰だなどと騒いだりするだけである。それから後になるとそれほどでもないがこの冒頭部分では妙に映像に凝っていて、意味ありげにスローモーションになったり場面切り替え時にテープを巻き返す音が入ったりする。この無意味なわざとらしさがうざい。
加えて、これは全篇そうなのだけれども、いちいち寒い小ギャグが入る。会話のたびに駄洒落を飛ばす人みたいで、これまた疲れる。こういうのを楽しめる人はいいんだろうけれども、私はこういうのが一番苦手なのである。またそれと歩調を合わせるように、脇役連中の演技が基本的にコント芝居。いやーつらい。冒頭20分で、最後まで観れるかどうか心配になった。
タイムマシンで過去に行ってからは世界崩壊の危機が訪れて面白くなるはずだと思って観続けたが、1時間を過ぎるまでそういうのは出てこない。ずっと同じ悪ふざけノリである。ようやく「下手するとすべてが消滅」という話になるが、ここでもがっかりなのは、クーラーのリモコンは別に関係ないということだ。リモコンだろうが何だろうが、ちょっとでも過去を変えると「消滅」という話なのである。
いやー大雑把だなあ。タイム・パラドックスものとしてわりと緻密だという噂だったのだが、全然大雑把だ。緻密に組み立ててあるのはタイム・パラドックスではなく、前日の「SF研の皆さん」①と、今日から前日へ戻った「SF研の皆さん」②のコント的な噛み合わせである。②の甲本君がみんなに見つかって適当にごまかし逃走、その後何も知らない①の甲本君が現れて「え?何?」となる、みたいな。
まあ、いいんですけど。これで辻褄が合うと、何か面白いの? いわゆる「伏線の回収」というヤツですか。最近、こういうの流行ってますね。
しかし結果的に、過去は色々と変えている。シャンプーも盗んでるし、カッパの神様の石像も出来ている。全部過去への干渉である。そもそもリモコンが壊れたのも、未来からの干渉の結果なのである。が、それらは「もともと起きていたこと」になっている。要するに、この映画においてはタイム・パラドックスは一切存在しない。パラレルワールドも存在しない。時間の流れは一つしかなく、起きたことは絶対に変わらない。過去に戻って何をしようが、すべては決定している。
というようなことは、おそらくこの映画の本題ではないのだろう。要するに、こういうSFっぽい設定でユルーいノリを楽しんで下さい、ということだと思う。そうと知ってたら観なかったな。
先に演技がコント的と書いたが、主演の瑛太、上野樹里、それから脇役で出ている真木よう子と佐々木蔵之介は、さすがにしっかりしている。監督の名前は私はなじみがないが、『踊る大捜査線』の監督らしい。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』もタイム・パラドックスは杜撰だけれど、これを観るとやはり構成や演出の巧さが分かるなあ。