アブソリュート・エゴ・レビュー

書籍、映画、音楽、その他もろもろの極私的レビュー。未見の人の参考になればいいなあ。

LIVE

2006-04-17 19:00:05 | 音楽
『LIVE』 オフコース   ☆☆☆★

 オフコースのライブ。『Three And Two』ツアーの音源がメインになっていて、初期のアコースティック時代とロックっぽくなった後期、両方のテイストが入り混じっている。過渡期のライブである。『思いのままに』『愛を止めないで』『SAVE THE LOVE』『さよなら』などは完全に後期オフコースの音で、『雨の降る日に』『老人のつぶやき』『さわやかな朝を迎えるために』などでは初期オフコースの雰囲気が味わえる。『失恋のすすめ』のようにアコギとコーラスだけという演奏もある。

 こうやって聴くとなかなかうまい。テクニックで聴かせるバンドじゃないが、しっかりまとまっていて自分達のスタイルを持っているのが分かる。特に小田和正の冴え渡るオフコース・ヴォイスと、メンバー全員の緻密なコーラスワークが印象的だ。ライブで楽器を演奏しつつ、ここまでコーラスができるバンドはなかなかないだろう。臨場感溢れる録音なので、オフコースのトレードマークである小田のハイトーン・ヴォイスも充分に堪能できる。オフコースの音楽が好きな人なら満足できるだろう。

 曲は例によって小田と鈴木の曲が半々に収録されているが、鈴木の曲は意図的にロック色を強めたような曲が多い。『RUN AWAY』『歴史は夜作られる』『SAVE THE LOVE』『のがすなチャンスを』などがそうだが、こういう曲はどこまで鈴木本来の持ち味なのだろうか。この人は本当はもっと緻密で繊細な曲をやりたかったんじゃないか。こういう、無理してハードロックにしたような鈴木の曲はあまり好きじゃない。『SAVE THE LOVE』はまあまあ悪くないが、この人のヴォーカルだとどうしても繊細さと生真面目さが出てしまって、演奏とチグハグになってしまう。『RUN AWAY』にしても、もっとスタジオ録音に近いアレンジでやって欲しかった。

 個人的に好きなトラックは、インスト部分が充実している『思いのままに』、ドラマティックなアレンジの『老人のつぶやき』、松尾の作った愛らしいインスト曲『Chili's Song』、やっぱり名曲の『さよなら』『愛を止めないで』あたりである。

 それにしても、オフコースのライブCDはこれと『秋ゆく街で』の二つしかない(映像は他にもあるが)。テレビにも出ないで地道にライブ活動をしていたバンドなので、他にももっとあるんじゃないかと思うが、どうなんだろう。昔FMでオフコースのスタジオ・ライブを聴いたことがあって、『眠れぬ夜』とか『ロンド』とかやっていたと思うが、ああいうのが残っていないものだろうか。かなり貴重だと思うが。それから知り合いからテープを聴かせてもらったことがあるが、『Three And Two』のちょい前ぐらいのライブで、『やさしさにさようなら』をやっていたライブ音源があった。ああいうのを誰か発掘して世に出してくれないかなあ。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿