『セールスマン』 アスガー・ファルハディ監督 ☆☆☆☆☆
『別離』のファルハディ監督の新作『セールスマン』がiTunesレンタルに出ていたので鑑賞。『別離』に続き二度目のアカデミー外国語映画賞(カンヌでは脚本賞と主演男優賞)を受賞している。妻が何者かに襲われる話と作品紹介に書いてあったので、なるほど訪問してきたセールスマンに襲われるのか、と思ったら全然違った。
主人公は役者の夫婦で、二 . . . 本文を読む
『タクシードライバー』 マーティン・スコセッシ監督 ☆☆☆☆☆
言わずと知れた、スコセッシ監督の最高傑作にして映画史上に残る金字塔。第29回カンヌ映画祭パルム・ドール受賞作品。ニューヨークを舞台にした映画は数多く、名作もあまたあるが、ニューヨークが舞台でなければ絶対に成立しない映画があるとすれば、この『タクシードライバー』をおいて他にない。少なくともその筆頭である。個人的には、ニューヨーク . . . 本文を読む
『そこのみにて光輝く』 呉美保監督 ☆☆☆
評判が良い映画のようだったので日本版ブルーレイを購入して鑑賞。が、個人的にはさほどの感動はなかった。というか、駄作とは言わないがピンと来なかった。
採掘場の事故で人を死なせた達夫(綾野剛)は仕事を辞め、パチンコと散歩の無気力な日々を送っている。ある時、仮釈放中の拓児(菅田将暉)と姉の千夏(池脇千鶴)と知り合い、後日、千夏が体を売っていることを . . . 本文を読む
『穴』 市川崑監督 ☆☆☆
日本版DVDで鑑賞。1957年のモノクロ映画。市川崑監督は三島由紀夫や伊丹十三、トリュフォーなど心酔者が多い日本映画の巨匠だが、『鍵』のような実験的映画を撮ったり『犬神家の一族』のようなエンタメを撮ったり『細雪』のような文芸作品を撮ったりと、いやに作風が幅広く、そのせいでどんな監督なのか今一つ私の中でイメージが定まらない。個人的には『鍵』と『女経』中の一篇「物を . . . 本文を読む
『男はつらいよ 幸福の青い鳥』 山田洋次監督 ☆☆★
DVDで再見。シリーズ第37作。
マドンナ役の志穂美悦子は、これが最後の映画出演作品となった。恋人役で長渕剛が出演していて、この二人が実生活でもゴールインしたのは皆さんご存知の通り。ところでこのエピソードが他の「男はつらいよ」シリーズ作とちょっと変わっているのは、志穂美悦子が演じるキャラクター・島崎美保は本作が初登場ではなく、以前の . . . 本文を読む
『夜の蝶』 吉村公三郎監督 ☆☆☆☆
日本版DVDを購入して鑑賞。面白い。夜の銀座の世界を描く映画と言えば成瀬監督の『女が階段を上る時』を思い出すが、これもまた違うテイストで愉しめる。
物語は、銀座の有名店フランソワのマダム、マリ(京マチ子)と、新たに京都から進出してきた店OKIKUのママ、おきく(山本富士子)との、女の意地と人生をかけた熾烈な争いがメインとなる。なぜ人生がかかっている . . . 本文を読む
『満月の夜』 エリック・ロメール監督 ☆☆☆☆
英語版ブルーレイで鑑賞。「喜劇と格言劇集」の第四作にあたる本作、冒頭に「二人の妻をもつ者はこころをなくし、二つの家を持つ者は分別をなくす」という格言らしきものが表示される(これはロメール自身がでっち上げた創作という噂があるが、確かなことは知らない)。
パーティー好きの娘ルイーズと社交嫌いの建築家レミは、レミの仕事の都合により郊外の家で同棲 . . . 本文を読む
『男はつらいよ 寅次郎真実一路』 山田洋次監督 ☆☆★
DVDで再見。マドンナは大原麗子、二度目の登場である。大原麗子の夫である証券会社のサラリーマン(米倉斉加年)が失踪し、悲しむマドンナを寅が慰める話だ。夫探しの旅に一緒に出かけたりする。寅は当然大原麗子に惚れている。
正直、出来は今一つだ。冒頭、寅が柴又に帰ってくるお約束シーンからノレない。寅とタコ社長の喧嘩はドタバタが過ぎ、空々し . . . 本文を読む
『トスカーナの贋作』 アッバス・キアロスタミ監督 ☆☆☆☆
英語版ブルーレイを買って再見。これもフランス語とイタリア語の映画なので日本語字幕付きが欲しかったのだが、日本ではブルーレイが出ていない。
さて、これは非常に奇妙な映画である。あらすじ紹介を読むと、大体こんな風に書かれている。「イタリア、南トスカーナ地方の小さな村で講演を終えたばかりのイギリスの作家(ウィリアム・シメル)が、ギャ . . . 本文を読む
『コンドル』 シドニー・ポラック監督 ☆☆☆☆
ロバート・レッドフォード主演『コンドル』をiTunesのレンタルで鑑賞。1975年公開。初見だが、これはかなり好きなタイプの映画だった。いわゆる謀略もので、レッドフォード演じる主人公はCIA職員。殺し屋も出てくる。とはいえ、ミッション・インポシブルやボーン・シリーズみたいな感じでは全然なくて、もっとしっとりした、情感溢れるフィルムである。主人 . . . 本文を読む