『嗤う伊右衛門』 蜷川幸雄監督 ☆☆★
日本版DVDで鑑賞。大昔に見たことがあって、唐沢寿明と小雪の悲劇的なカップルのたたずまいがそこはかとなく印象に残っていたので、久しぶりに再見した。京極夏彦の原作は偏愛の一冊である。
監督は演劇人である蜷川幸雄だが、私はこの人の舞台はNYでやった藤原竜也主演の『ムサシ』を観ただけで、正直さほどの印象は残っていない。映画が始まるとまずは唐沢寿明と池内 . . . 本文を読む
『八つ墓村』 野村芳太郎監督 ☆☆☆★
日本版ブルーレイで鑑賞。私が子供の頃「たたりじゃあ~」が大流行したのはよく覚えているが、この映画は未見だった。今回、初鑑賞である。あの西村賢太が、横溝正史映画化作品の中でこれが一番好き、とエッセーに書いていたので観てみた。ちなみに横溝正史の原作は既読。
アマゾンのカスタマーレビューなんかを読むとやたら怖い怖いと書いてあるが、さすがに今の目で見ると . . . 本文を読む
『ムード・インディゴ』 ミシェル・ゴンドリー監督 ☆☆☆☆
ボリス・ヴィアンの名作『うたかたの日々』の映画化作品である。監督は『エターナル・サンシャイン』のミシェル・ゴンドリー監督。
レーモン・クノーが「現代の恋愛小説中もっとも悲痛な作品」と呼んだ、シャンパンの泡の如き奇想と遊びに満ち満ちたあの『うたかたの日々』を、果たしてどのように映像化したのか興味津々だったが、おそらくおふざけは控 . . . 本文を読む
『人生スイッチ』 ダミアン・ジフロン監督 ☆☆☆★
アルゼンチンのオムニバス映画を、日本版DVDで鑑賞。私は英語以外の言語の映画は英語字幕を読むのが面倒なので、最近はなるべく(値段と相談しつつ)日本のソフトを買うようにしているが、これはわざわざ日本版を購入する価値があったかどうかちょっと微妙、だけどまあいいか、ぐらいの印象である。オムニバムといっても同じ監督の短篇映画の集合体で、プロローグ . . . 本文を読む
『瞳の奥の秘密』 ファン・ホセ・カンパネラ監督 ☆☆☆☆
アルゼンチンの映画をiTunesのレンタルで鑑賞。2010年のアカデミー賞外国語映画賞受賞作品。レイプ殺人を扱ったサスペンスものだが、そこに25年の歳月の流れを挟む大河ドラマ的手法で関係者の人生の変転を織り込んだり、人生も後半にさしかかった大人たちの恋愛模様を混ぜたりして膨らませてある。また事件の方も単に犯人探しや捜査だけでなく、司 . . . 本文を読む
『Her』 スパイク・ジョーンズ監督 ☆☆☆
iTunesのレンタルで鑑賞。近未来のLAを舞台に、孤独な男とAIが恋に落ちるちょっとSF的な物語である。といってももはやAIがどんどん実用化されつつある現在、映画の中の世界は今の私たちの世界をほんのちょっと先に進めたぐらいのリアル感だ。すなわち、スマホも兼ねた小型のタブレット、音声認識、ホログラムのゲーム画面、AI制御の住居、などなど。
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『アンジェリカの微笑み』 マノエル・デ・オリヴェイラ監督 ☆☆☆☆
日本版のブルーレイを購入して鑑賞した。オリヴィラ監督101歳の時の作品だというから驚く。
幻想的な映画という評を見て買ったのだが、幻想的とかシュールレアリスティックというよりも、むしろ浪漫主義的といった方がぴったりくる映画だと思う。雰囲気もストーリーも古めかしいし、観客を挑発したり翻弄したりするようなところはなく、ひた . . . 本文を読む
『さよなら、人類』 ロイ・アンダーソン監督 ☆☆☆★
スウェーデンの映画監督ロイ・アンダーソンの『さよなら、人類』を日本版ブルーレイを購入して鑑賞。この監督はまったく初見だったが、ヴェネツィア映画祭のグランプリ受賞作ということで興味を惹かれたのである。実際観てみると相当ユニークなフィルムだった。これまで私が観たどんな映画にも似ていない。言ってみれば寸劇の集合体で、一つ一つはとぼけまくった不 . . . 本文を読む
『人生万歳!』 ウディ・アレン監督 ☆☆☆☆☆
英語版ブルーレイで再見。前にiTunesで観てすっかり気に入り、セリフが多いし難しいしで日本語字幕付きのブルーレイを買おうと思ったら、日本ではブルーレイが発売されていない。いい映画なので日本でもブルーレイを発売すればいいのに。
主演のラリー・デイヴィッドはもともと人気コメディドラマ『Seinfeld』の脚本家だが、最近じゃHBOの『Cur . . . 本文を読む
『旅情』 デヴィッド・リーン監督 ☆☆☆★
日本版ブルーレイで再見。主演、キャサリン・ヘプバーン。秘書で生計をたてるアメリカ人の独身女性が一人旅でヴェニスを訪れ、現地で骨董品店を経営する男と恋に落ちるというお話。ヴェニスの観光映画にして大甘のメロドラマと言われても仕方がない映画だけれども、それだけで切って捨てるには惜しい部分もある。普通のメロドラマにはない、ビターな味わいがあるのだ。
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