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九月の一日一句集成

(写真)無題



木の上や又三郎の九月来る

秋風に小顔かしぐるをんなかな

行き暮れし秋や此の道翁なく

出でし腹もとに戻さん秋なすび

なんやかや拍子抜けして大昼寝

偏人と呼ばれて久しき団扇かな

瓢箪の功徳を絶つて二三日

山の井や風の立ちたる水引草

わが影と戯るる猫秋の暮

踏切の音のあなたや秋の声

秋風や石文の文あたらしき

英国の紳士は秋を好みけり

上州の土地踏みしむや秋の空

上京や萩の花見はうすぐもり

銀芒旅の空ともおぼえたる

しろがねの秋の西日となりにけり

めでたさは桃太郎てふトマトかな

笑ひたるごとくに子規の糸瓜ゆれ

親類が揃つてけふの葡萄摘

黒葡萄洗ひたてたる天気かな

いつときを墓に迷ふや草雲雀

秋風のするりほどけておはぎなる

看板は傾きしまま鳥渡る

林檎喰ふまた新しき日のはじめ

赤松の果たるところ世阿弥の忌

つくばねや山の匂ひのなつかしき

ことごとく些事に覚ゆる瓢かな

草紅葉盥の水はゆれやまず

花なくも金木犀の立ち話


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芭蕉の俳諧:猿蓑(36)

■旧暦8月20日、木曜日、、寒露

(写真)奥の院

趣味でロシア語を始める。アルファベットの発音からして、まったく、他言語と異なるので、興味深い。見たこともないスペルも多い。目的は、マエストロのロシア語の詩を日本語に置き換えることだが、相当先になるだろう。朝から、暴風雨。介護保険で手すりを付けるため、申請書を書く。保険で9割カバーしてくれる。家人がエアコンの室外機周辺の音で眠れないというので調べる。雨水でドレインの空気が閉じ込められて、それが風に揺れてポンポン音がでるらしい。水を出して、水が入らない位置にドレインを固定。午後、台風一過の晴天。


天心は青の透けゆく野分かな


屋根〱を鳥影過ぐる野分かな


颱風に力をもらひ一仕事


生くるより死ぬるが長き虫の闇


東京をまるごと洗つて野分過ぐ


野分晴まづ一声は鴉なり




デイヴィッド・G・ラヌーによる一茶の英訳

the chicken's poor
at pecking them...
rice cake's flies

niwatori ga heta ni tsumu nari mochi no hae

鶏が下手につむ也もちの蠅

by Issa, 1824

Or: "it.../rice cake's fly."



この春も蘆同が男居なりにて
   史邦
さし木つきたる月の朧夜
   凡兆
苔ながら花に並ぶる手水鉢
   芭蕉


■この展開は、人間から「もの」へと主役が代わり、一息ついた気分になる。『風狂始末』の解説では、どこまでも人情的に、象徴的に理解している。そう考えると、とても息苦しい。



Sound and Vision

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