verse, prose, and translation
Delfini Workshop
九月の一日一句集成
2009-10-08 / 俳句
木の上や又三郎の九月来る
秋風に小顔かしぐるをんなかな
行き暮れし秋や此の道翁なく
出でし腹もとに戻さん秋なすび
なんやかや拍子抜けして大昼寝
偏人と呼ばれて久しき団扇かな
瓢箪の功徳を絶つて二三日
山の井や風の立ちたる水引草
わが影と戯るる猫秋の暮
踏切の音のあなたや秋の声
秋風や石文の文あたらしき
英国の紳士は秋を好みけり
上州の土地踏みしむや秋の空
上京や萩の花見はうすぐもり
銀芒旅の空ともおぼえたる
しろがねの秋の西日となりにけり
めでたさは桃太郎てふトマトかな
笑ひたるごとくに子規の糸瓜ゆれ
親類が揃つてけふの葡萄摘
黒葡萄洗ひたてたる天気かな
いつときを墓に迷ふや草雲雀
秋風のするりほどけておはぎなる
看板は傾きしまま鳥渡る
林檎喰ふまた新しき日のはじめ
赤松の果たるところ世阿弥の忌
つくばねや山の匂ひのなつかしき
ことごとく些事に覚ゆる瓢かな
草紅葉盥の水はゆれやまず
花なくも金木犀の立ち話
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芭蕉の俳諧:猿蓑(36)
2009-10-08 / 俳句
(写真)奥の院
趣味でロシア語を始める。アルファベットの発音からして、まったく、他言語と異なるので、興味深い。見たこともないスペルも多い。目的は、マエストロのロシア語の詩を日本語に置き換えることだが、相当先になるだろう。朝から、暴風雨。介護保険で手すりを付けるため、申請書を書く。保険で9割カバーしてくれる。家人がエアコンの室外機周辺の音で眠れないというので調べる。雨水でドレインの空気が閉じ込められて、それが風に揺れてポンポン音がでるらしい。水を出して、水が入らない位置にドレインを固定。午後、台風一過の晴天。
天心は青の透けゆく野分かな
屋根〱を鳥影過ぐる野分かな
颱風に力をもらひ一仕事
生くるより死ぬるが長き虫の闇
東京をまるごと洗つて野分過ぐ
野分晴まづ一声は鴉なり
☆
デイヴィッド・G・ラヌーによる一茶の英訳
the chicken's poor
at pecking them...
rice cake's flies
niwatori ga heta ni tsumu nari mochi no hae
鶏が下手につむ也もちの蠅
by Issa, 1824
Or: "it.../rice cake's fly."
☆
この春も蘆同が男居なりにて 史邦
さし木つきたる月の朧夜 凡兆
苔ながら花に並ぶる手水鉢 芭蕉
■この展開は、人間から「もの」へと主役が代わり、一息ついた気分になる。『風狂始末』の解説では、どこまでも人情的に、象徴的に理解している。そう考えると、とても息苦しい。
☆
Sound and Vision
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