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飴山實を読む(4)

旧暦4月16日、金曜日。

今日は、睡眠がそこそこ確保できたので、調子は比較的いい。慈恵医大で、長時間睡眠を可能にするサイレース錠を処方してもらう。すぐに、家に帰る気にもならないので、柏の街をぶらつく。街の喧騒の中にいると調子がいい。暗くなっても家に帰る気にならない。家人と待ち合わせて、買い物に付き合う。サイレース錠がどこまで効くかである。



走り根をしばし枕や夏木立   『次の花』

「走り根。岩盤地に自生している木は、細土が少ないので、その根は水を求めて遠く、単一または少し分岐して伸張し、岩盤の隙間に入り込んでいる。その根のこと」植物用語小事典

きっと山の涼しい風が夏木立を渡って行くだろう。葉のざわざわいう音や鳥の声も聞こえてくるようだ。走り根を枕にごろっと横になれば、土の匂いや緑の匂いが一気に鼻腔に押し寄せる。頭上には、夏木立の先に夏の空がのぞいている。この句のどこに惹かれたか。それは、「走り根をしばし枕や」という措辞、とくに「枕や」という措辞だった。この一語で、森の世界が対象としてではなく友人として現われ、森と人間は対立を止めて、浸透しあう。遠く、老子や荘子、中国の詩人たちの面影もこだまする。こういう句を読むと、こちらまで、リラックスできて、とても好きな句である。
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