goo

ごきぶり

火曜日、のち

終日、仕事。早朝、二人のキャーキャーいう声で目が覚める。何事か、と思ってキッチンを覗くと、ごきぶりが出たらしい。しかし、嫌われますな、ごきぶりは。まだ、ほんの子どものごきぶりなのに。殺虫剤を撒いたが、どこにも姿が見えない。器具類を入れてある引き出しの中に現れたので、すべて、食洗機で洗った。人間様、とくに女類様に大変嫌われるごきぶりであるが、拾う神もありますな。俳句の神ですね。立派な夏の季語ですね。



ごきぶりを天敵として友として 坊城としあつ

ごきぶりを見しより疑心兆したる 西村和子

ごきぶりを目に追ひ電話つづけをり 長屋せい子

淑女には遠しごきぶり打ち据ゑて 林明子

僧を過ぎ女人の方へ油虫 鈴木六林男

影を出て影を曳き出す油虫 鷹羽狩行

油虫出づ鬱々と過す人に 山口青邨

油虫にぶくなりしをもう追はず 山口誓子

愛されずして油虫ひかり翔つ 橋本多佳子

売文や夜出て髭の油虫 秋元不死男

風呂場寒し共に裸の油虫 西東三鬼

油虫殺すいちめんの夕日いろ 加藤楸邨

ねむたさがからだとらへぬ油虫 中村汀女

ごきぶり死す脚二三本身をはなれ 能村登四郎

ごきぶりを打ち損じたる余力かな 能村登四郎

鷹女忌のすでに出てゐる油虫 石原八束

夜寒さや吹けば居すくむ油虫 富田木歩


■嬉しいですね。俳句の面目躍如ですね。ごきぶりを詠える文芸というのは、なぜか、信頼できるんですね。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )