「バースデイきっぷ」で四国一周の旅 その1

2017年12月30日 23時51分21秒 | 旅行記
(後ほど大幅に加筆・修正の予定です)

2017年もまもなく終わり。
今年も旅の一年でしたが(最近じゃ芭蕉のようと言われます)、その締めくくりに相応しく(?)先日は「バースデイきっぷ」を利用して友人と四国を周ってきました。


「バースデイきっぷ」とはその名の通り、誕生月の3日間、JR四国の特急グリーン車が13000円で乗り放題になる切符で(更に格安な自由席用もあります)、同行者も同額になることから、暇そうな(失礼)友人を誘ってみると二つ返事でOKと来たのでこちらで段取りを進めて12月25日夜に出発。25日と言えばクリスマスですが巷間では前夜のイヴの方が盛り上がるようで、道中の大阪も三宮も既に祭りのあと、後は年末を待つのみといった雰囲気でした。


四国への足はリーズナブルにと、阪急電車を乗り継いで辿り着いた三宮から徒歩で港へ向かい、ジャンボフェリー下り1便で渡ります。
まだ帰省ラッシュには少し遠いようで、桟敷席の乗客は各区画に数人程度でしたが、この日は積荷のトラブルで45分延で出港。外国人カップルが甲板で接吻しているのを見てタイタニックを思い出し、これでは先が思いやられるなと思いながらも就寝体制へと移りますが、途中で目が覚めたときに喉に若干の違和感を覚えたので、持参したマスクを着用して就寝しました。方法としては原始的ですが一応の効果はあったようで、翌朝はいつも通りの喉に戻って一安心。


フェリーは45分の遅れを引きずったまま高松へ。5:45に下船しましたが、高松駅への連絡バスがなかなか来ず、やっと乗れたのは6:15。
駅に着いたのは6:30で、乗車予定の列車は15分後。実は定刻通りにフェリーが着いた場合、高徳線で栗林公園を往復して「さか枝」で朝うどんの予定だったのですが、うどん屋さんなら目の前にもあるだろう、ということで「味庄」へ。ジャンボフェリーで早朝に到着する人にはおなじみの存在でしょう。


数年ぶりに暖簾をくぐり、「かけ小」にちくわ天の組み合わせを。フェリーから一緒だった旅行者のほかにはJRの乗務員さんも入ってきて、朝からプチにぎわいの店内、気付けばマリンライナーの発車時刻が近付いていたので早足で駅へと戻ります。


先の画像でネタバレしていますが、高松からは快速「マリンライナー8号」でいったん本州へと戻ります。行程は全て任されているので朝からやりたい放題ですが(笑)、四国の特急には全てグリーン車があるわけではありませんから、遠回りをしてでも積極的に乗らなければ意味がありません。
今回初のグリーン車となった5000系ですが、京阪特急が身近な友人にとってはこれがグリーン車相当の設備には映らなかったようで、まだまだこれから、と、とりあえずは備讃瀬戸の景色を楽しんでもらうこととします。


途中、東京から来た「サンライズ瀬戸」と離合し、瀬戸大橋を渡って岡山県の児島へ。
駅の管理はJR西日本ですが、バースデイきっぷは四国島内のほか当駅までが有効区間です。瀬戸内海に昇りゆく朝陽を眺めつつ、四国側からは後続の「しおかぜ」が来たと思えば、今度は岡山方から「南風1号」が入線してきました。




(他の列車で撮影)
2000系のグリーン車に乗るのは初めて。展望の効く最前列は同じく児島から乗車の「同士」が先に取っていたようですが、ゆったりとした掛け心地はやはりグリーン車ならでは。多度津を過ぎて単線の土讃線に入ると本領発揮、琴平を出るとあっという間に猪鼻峠へと差し掛かり、徳島県に入って吉野川を渡ると阿波池田に滑り込みました。児島からは僅か1時間、普通列車を乗り継ぐと手間も時間も倍以上はかかりますから、その俊足ぶりには改めて瞠目させられるものがあります。

阿波池田からは、隣のホームに停まっていた特急「剣山4号」へ。




こちらは急行上がりのローカル特急、先ほどのグリーン車から一転して自由席の人となります。その狭さはどうしても否めませんが、この座席にこの室内、今となってはどこかキハ181系を思い出す懐かしさです。
車内は徳島へと向かう用務客が中心で、吉野川を横目にウトウトしていると、なぜか2分ほど遅れて徳島に到着。隣接する運転所にはキハ47のタラコ色2連がちょうど撮影しやすいところに停まっていたのですが、本来ならば4分接続の「むろと1号」に2分で乗り換えなければならない(ホームも違う)ので止む無く走ります。


(牟岐にて撮影)
乗り換えた「むろと1号」も先ほどと同様のキハ185系。
徳島以南の牟岐線は初乗車でしたが睡魔には勝てず、阿南から先は記憶がありません。牟岐到着の放送で目が覚めました。国鉄書体の行先表示幕を使用する特急列車も随分と数を減らしましたが、四国では更新されることなく現役です。


ここまで来ると地元客よりも旅行者の方が数を上回り、後者のほとんどは接続する海部行きに乗り換えます。
海部行きは1200型の単行で、この旅では初めての普通列車にして一般型車両。バースデイきっぱーにとっては普通列車は余り利用したくないのが本音ですが、今まではこんな車両ばかり乗り継いで旅をしていたのですから、束の間、原点に戻った気分です。


終点の海部では更に南へと延びる阿佐海岸鉄道に乗り換えますが、この駅の名物(?)が駅北側のトンネル。
元々は山だったものを開発で切り拓いていった結果トンネルの構造物だけが残った結果というのですから面白いものです。海部で降りたほとんどの乗客が写真に収めていました。

そうこうしているうち、阿佐海岸鉄道の車両が折り返しで到着します。




車両はもと高千穂鉄道から流れ着いたNDC。「冬ほたる列車」として車内には電飾が設けられていました。
終点の甲浦までは僅か2駅とは言えトンネルが連続しますから、そのたびに車内が彩られて綺麗なものでした。乗客は我々を含めて男ばっかりでしたが。(汗)


「阿佐」の名が示すように甲浦駅は高知県に差し掛かっています。プツンと途切れた高架に感じるのは潔さか未練か、下の待合所で時間を潰していると「バスが来ましたぞね」とご婦人の声が掛かり、その言い回しに土佐の地に来たことを感じながら、高知東部交通バスに乗って室戸岬へ。意外にも旅行者は我々ともう一組のみで、大半は海部へと折り返したようです。


定刻通りに甲浦駅を発車したバスは海沿いに南下していきます。このバス、時刻表上の所要時間に対して停留所数が多いせいか序盤はガンガン飛ばしまくりで、2000系の特急に通じるワイルドさがありました。(笑)

甲浦駅から南下すること約1時間強、室戸岬に到着。


中岡慎太郎像が迎えてくれます。
周辺には道路・山・海のみで昼食を摂れるような施設は見当たらず、とりあえず岬のほうへと出てみることに。




室戸岬は一帯がジオパークに指定されており、地形や模様の一つひとつに丁寧な解説板が設けられているので地学好きには楽しめるエリアと言えるでしょう。地震由来の険しい岩場と丸くなった砂利の浜、煌いて穏やかな太平洋がすごく印象的でした。


岩場の窪みには流木が溜まっていて、これは木造船とちがうかとぼやいてみたり、何か生物はいないかと岩場を観察したり散策しているうちに昼食のタイミングを逃してしまいました。少し進んだところでレストランのあるホテルを見つけたのですが、バスの時間が迫っていて時既に遅し……。


弘法大師さんが修行で滞在したという御厨人窟(みくろど)は落石の危険があり立ち入り禁止に。
室戸岬での一つの楽しみだったのですが、本来であれば入洞して振り返ると鳥居越しに青い海が見えるはずです。


時間はもう昼下がり、後続のバスに乗って土佐くろしお鉄道の起終点である奈半利へと向かいます。
道中、室戸市街では多少の乗降がみられ満席近くになったものの、甲浦から室戸岬までの閑散ぶりなどを考えるとやはりバスで事足りる需要なのでしょう。とは言え、阿佐海岸鉄道ではDMV導入の動きがあるようですから、その話題性はもちろん、室戸岬へのアクセス改善という点で起爆剤となるやもしれません。


奈半利からは土佐くろしお鉄道に乗車。ディーゼルカーのハイバックシートに身を任せ、このまま高知まで乗って行きたい気持ちもありましたが、よくよく考えると昼食を摂っていないことに気付き、「何かありそうな」安芸で途中下車。
スマホで簡単に調べると、ここには居酒屋を含め「しらす丼」を提供するお店が数軒あるようですが、ちょうど営業時間の切れ目に掛かっているらしく、やっているお店を求めて徒歩で15分ほど北上します。


田園と住宅地を抜けると昔ながらの街並みに差し掛かり、しかしそれらは特に観光地化されているわけでもなさそうで(おそらく今も人が暮らしているのでしょう)、つくられた景観に日々辟易している我々にとっては却って好感が持てました。


そんな古き建造物群の一角にある「高園茶屋」でしらす丼を。古民家風の喫茶店で先客は地元のご婦人が数名、茶話会のようなところにお邪魔してしまったようですが早速しらす丼を注文して舌鼓を打ちます。丼だけでなくお味噌汁やお漬物、デザートも付いて800円。二人とも食にはややうるさいのでご当地モノに拘った結果ここまで歩いてきたのですが、これはほんとうにアタリでした。


すっかりお腹を満たした後は安芸駅へと戻り、後免で特急に乗り換え(短距離の特急乗車を一々気にしなくて良いのもバースデイきっぷの特権)、高知着。




高知を訪れるのは7年ぶり、前回は大河ドラマ「龍馬伝」が放送していたときですが、今年は大政奉還から150年、更に来年は明治維新から150年ですから変わらぬ盛り上がりであることでしょう。駅前では龍馬・慎太郎・半平太の像が迎えてくれました。
この日の宿ははりまや橋近くのホテル遅めの昼食のこともあって19時過ぎまで寝転がっていましたが、それでは勿体ないと夜の街へ繰り出します。




高知での夜食と言えばひろめ市場、そしてどうしても外せないのが鰹のたたきです。見知らぬ者同士が席を同じくして食を楽しむのもこの市場の特徴、近くの女性2人組はもれなくナンパされていましたが、こちらは隣席のおじさん(既に出来上がっている)に話しかけられ、旅行中であることを告げるとしばし旅の話で盛り上がりました。最後には話に付き合わせたお礼にと牛すじ煮込みをご馳走になり恐縮。これがほんとうに柔らかく、身も心も温まったひとときでした。


続きは部屋で。(笑)
安芸駅併設のスーパーで仕入れていた太刀魚とカマスのお寿司です。お店にも美味しいものはありますが、地場のスーパーで格安の食材を探すのもまた一興。お酒もほどよく回り、日付が変わる頃には寝てしまいました。

その2に続きます)

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